2011 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ-赤外二次元相関分光の開発と高分子集合体の機能発現の解明
Project/Area Number |
22360011
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
保科 宏道 独立行政法人理化学研究所, テラヘルツイメージング研究チーム, 基幹研究所研究員 (10419004)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森澤 勇介 関西学院大学, 理工学研究科, 博士研究員 (60510021)
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Keywords | テラヘルツ分光 / ポリマー / PHB / 二次元相関分光法 / 高次構造 |
Research Abstract |
本研究では二次元相関分光法によって,テラヘルツ周波数領域に現れる分子間振動の詳細を研究するとともに,この手法を高分子のテラヘルツ吸収スペクトルに適用し,高分子物性研究に応用することを目的としている. 本年度は生分解性ポリマーであるポリヒドロキシブタン酸(PHB)の等温結晶化に伴うテラヘルツ吸収スペクトルの変化を観測し,そのスペクトル解析に二次元相関分光法を適用した.スペクトルの測定にはテラヘルツ時間領域分光法を使用し,0.8~4.0THzの範囲で吸収分光を行った.サンプルであるPHB粉末を本研究費で購入したテラヘルツ分光用温調セル内で融解した後90℃に急冷し,等温結晶化の過程を観測した.得られたテラヘルツ吸収スペクトルには結晶化時間をパラメータとして二次元相関分光法を適用した. 二次元相関スペクトルのsynchronousプロットからは,アモルファスであったPHBが結晶化する様子が観測された.またasynchronousプロットからは結晶化が二段階のプロセスによって進行することが明らかになった.これまでの研究で得られた知見を元にasynchronousプロットを解析したところ,90℃におけるPHBの等温結晶化では最初に水素結合に起因する吸収が成長し,その後結晶全体の構造(ラメラ構造)に起因するピークが成長することがわかった. 今年度の研究によって,二次元相関分光法によって解釈の難しいテラヘルツスペクトルから効果的に情報を引き出せることが明らかになった.また,テラヘルツ分光が高分子の構造や物性の研究に有効な手段であることが明らかになった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は(1)テラヘルツ-赤外・近赤外二次元相関分光法の確立,(2)ポリマー中の水素結合の解明,(3)ポリマーの物性研究の新しい手法としてのTHz分光の可能性の探究,である.今年度の研究によって,項目(1)の一部であるテラヘルツ-テラヘルツ二次元相関分光法は達成されている.また,項目(2)については昨年度および今年度の研究で目標は達成された.項目(3)についても今年度の研究によってテラヘルツ二次元相関分光法がポリマー構造に関する新しい情報を提供することが明らかになった. したがって,本研究の目標は8割以上達成されていると考えられる
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は,今年度の結果を基に,ポリマーの異周波数間二次元相関分光法を測定し,テラヘルツ周波数領域の分光情報と赤外,近赤外分光情報の比較を試みる.
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[Presentation] Terahertz spectroscopy of soft materials2011
Author(s)
C.Otani, H.Hoshina, M.Yamashita
Organizer
The Joint Conference for International Symposium on Terahertz Nanoscience (TeraNano 2011) & Workshop of International Terahertz Research Network (GDR-I THz 2011)
Place of Presentation
Osaka, Japan(招待講演)
Year and Date
20111124-20111129
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