2013 Fiscal Year Annual Research Report
結晶表面の原子ステップの位置・構造制御と原子・分子修飾
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22360015
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
山部 紀久夫 筑波大学, 数理物質系, 教授 (10272171)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
蓮沼 隆 筑波大学, 数理物質系, 講師 (90372341)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | Si / 表面 / 酸化膜 / 原子ステップ / 有機分子 / センサー |
Research Abstract |
原子的平坦な、水素終端されたSi(111)表面における自然酸化膜成長形態を、AFM、FTIRを用いて評価した。酸化前のSi表面テラスは原子的に平坦であることが確認されている。自然酸化が始まると、酸化に伴う堆積膨張により酸化箇所が確認できる。評価の結果、以下のことが明らかになった。自然酸化はテラス上における核形成から始まり、2次元島成長を基本とするlayer-by-layer成長をする。核形成頻度はおおむね下流のステップ端近傍で高い。また、AFM画像の詳細な評価から、Siバックボンドへの酸素の挿入という観点において、2段階の酸化過程を踏むことがあきらかになった。このことに関して、酸素挿入位置を説明するモデルを提唱した。さらに、FTIRによる評価から、大気中湿度が上昇するにつれて自然酸化速度が大きくなることが明らかとなった。溶存酸素を極力排除した純水中では酸化が進行しないことから、自然酸化には酸素と水の両方が必要であることが示唆される。 Si(100)基板上に形成した熱酸化膜への有機分子吸着を電気的にとらえる試みを行った。扱った有機分子はbiotinおよびavidinである。まず酸化膜表面にbiotin分子を固着させた。次に電気化学セル内にてbiotin/SiO2のみを生理食塩水に浸漬する。Si基板裏面にAl電極、生理食塩水なにPt対向電極用意し、系全体の容量を測定する。その後、生理食塩水にavidinを添加する。Avidinはbiotinと非常に強い親和性を示すため、時間経過とともに酸化膜表面に固着したbiotinと結合していく。容量観察の結果、avdin添加のおよそ30分後から容量の変化が現れ、avidinの吸着を反映しているものと考えられる。MOSキャパシタの、有機分子センサーとしての応用が期待される。今後は対象分子の濃度依存性を明らかにし、感度を向上させること、対象範囲の拡張、多様化などが課題である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Siの自然酸化膜の成長の原子論的観察を行い、酸化過程に関するモデルを提唱することができた。また、自然酸化の雰囲気依存性を調査し、自然酸化が酸素と水の双方が関与する複雑な過程を経ていることを示すことができた。また、有機分子を含む溶液に暴露・吸着することに伴う容量特性の変化を検出することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
有機分子吸着のSiステップ選択性を調査する。 さらに有機分子センシング感度を高めるための試行を進める。例えば酸化前のSi表面ステップ形状、密度と、biotinなどのリンカー分子の固着効率を調査する。
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Research Products
(19 results)