2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾半導体表面―集合有機分子系の界面構造と電荷移動ダイナミクス
Project/Area Number |
22360017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉信 淳 東京大学, 物性研究所, 教授 (50202403)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉本 真也 東京大学, 物性研究所, 助教 (90507831)
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Keywords | 半導体 / シリコン / 有機分子 / 表面 / 界面 / 電荷移動 / ダイナミクス / 電気伝導 |
Research Abstract |
本研究では,化学的に修飾された半導体表面に有機分子集合系を構築し,「集合有機分子-電極系」の界面構造と電子状態を,放射光分光および実験室的表面科学手法(表面電気伝導測定,走査トンネル顕微鏡,表面振動分光)で解明する.化学修飾した表面では,反応性と表面電気二重層・仕事関数を制御することができる.この表面に有機分子を吸着・成長させると,バルクの有機分子凝集体とは異なる構造や電子状態を有する集合有機分子系が界面領域に形成される.平成22年度は,Si(100)表面をエチレンや2メチルプロペンで終端化した化学修飾表面で実験を行った.この清浄表面のダングリングボンドが終端化され化学的に安定になる.この表面に強力なアクセプター分子であるF4TCNQを少量蒸着しその電子状態をKEK-PFのBL13を主に利用した放射光分光と,表面電気伝導測定や走査トンネル顕微鏡などの表面科学的実験を駆使して調べた.エチレン終端面では仕事関数がF4TCNQ蒸着により最大2eV増加することが分かった.これは,シリコン基板からF4TCNQへと電荷移動が生じているためである.F4TCNQ/エチレン/si(100)表面にペンタセン薄膜を成長させたところ,ホールインジェクションバリアが,エチレン/Si(100)表面に成長させた場合と比較して,約0.5eV減少させることに成功した.また,ウェット法によるSi(111)表面の化学修飾にも取り組み評価を行った.超高真空透過型FTIR用チェンバーを設計し構築した. 翌年度繰り越しにより,キャパシタンスブリッジを導入した.これにより,シリコン表面に分子が吸着することによる歪み変位などを精密に見積もることが可能になった.
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