2011 Fiscal Year Annual Research Report
X線CTR散乱ホログラフィによる原子分解界面構造解析法の開発とその応用
Project/Area Number |
22360018
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 敏男 東京大学, 物性研究所, 教授 (20107395)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白澤 徹郎 東京大学, 物性研究所, 助教 (80451889)
|
Keywords | X線回折 / 放射線 / 超薄膜 / 表面・界面 / 位相問題 / 直接法 / CTR散乱 / トポロジカル絶縁体 |
Research Abstract |
半導体エレクトロニクスに代表されるように、デバイスの高機能化微細化に伴い、界面構造を理解することの重要性が増大している。デバイスの特性は、界面付近の構造に敏感であることはよく知られているが、これまで、界面付近の構造を原子スケールで評価する方法がほとんどなく研究が進展していない。申請者は、これまでX線回折法、とくにCTR(結晶トランケーションロッド)散乱法により、表面・界面、超薄膜の構造を決定してきた。本研究では、構造モデルを立てることなく、CTR散乱の測定データから直接的に表面・界面、超薄膜の構造を原子分解能で求める方法を確立し、その手法を興味ある系に発展的に応用して行くことを目的としている。本年度は、試料作製評価装置に低速電子回折装置(LEED)を整備し、さらに、金属を制御して蒸着できる蒸着源も整備した。測定試料には、Si(111)基板の上にエピタキシャル成長させたBi超薄膜を用いて、超薄膜および界面を原子層単位で直接的に構造を求めることを試みた。複数の位相回復法を組み合わせることにより、Bi超薄膜とSi基板の間に、濡れ層と考えられる原子層が存在することがモデルフリーに導けることができた。この結果は、それまでに得られた電子状態に関する測定結果を解釈する上で極めて重要な知見を与えるものであった。さらに、Bi超薄膜構造について得られた結果は、Biのトポロジカル絶縁体として特性を議論する上で重要な結論を与えるものであった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Si基板上にエピタキシャル成長したBi超薄膜について、原子分解能で原子層を再構成できた。とくに、界面にある濡れ層の存在をモデルを仮定することなく直接的に示すことに成功した。
|
Strategy for Future Research Activity |
位相回復して直接的に原子分解能で構造を求めることをいくつかの注目されている系で行い、方法論を確立するとともに、それらの系で重要な知見を導き出す。
|
Research Products
(9 results)