2010 Fiscal Year Annual Research Report
スピン分裂した表面バンド電子の量子干渉とその表面スピンフィルターへの応用
Project/Area Number |
22360019
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平山 博之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60271582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 悠樹 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教 (60514271)
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Keywords | 表面・界面物性 / STM/STS / スピンエレクトロニクス / 量子干渉 / ラシュバ効果 |
Research Abstract |
Ag(111)表面上へのBi吸着によって出来るBi√<3>/Ag(111)表面では、巨大Rashba効果のためにスピン分裂した表面バンドが出現する。本研究は、このスピン分裂した表面2次元バンドを利用したスピンフィルタ作用の可能性に関して、基礎的な側面から明らかにしようとするものである。 本年度は、この研究の第一年目としてまずはじめにFIM(電界イオン顕微鏡)チャンバーを既存の設備に増設し、研究を推進する主な手段であるSTM(走査トンネル顕微鏡)の空間およびエネルギー分解能向上に欠かせない、先端が原子1個レベルで尖った探針を準備・評価することを可能とした。 またSTMを用い、Si(111)基板上に成長させた厚さ20ML(原子層)のAg(111)エピタキシャル成長膜の上にBiを蒸着した場合の、表面構造変化を丁寧に観察した。この結果、これまで報告されていたBi原子吸着量が1/3MLの場合に現れる√<3>×√<3>表面構造に加え、Bi原子量が0.45MLを超えた場合にはこれまで全く報告されていなかったストライプ構造が出現することを初めて見出した。さらにこのストライプ構造のSTMによる詳細な観察結果を元に、この構造がAg(111)表面格子に対してBiが最密充填を保ちつつ(3012)という特異な超周期配列を取ったものであることを明らかにした。 これに引き続き、Si(111)基板上にエビ成長させたAg(111)超薄膜表面上のBi√<3>×√<3>構造表面に対して、STMを用いたdI/dV像測定を行い、この表面のスピン分裂したバンド電子状態における量子干渉によって発生する電子定在波の観測に成功した。
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