2012 Fiscal Year Annual Research Report
スピン分裂した表面バンド電子の量子干渉とその表面スピンフィルターへの応用
Project/Area Number |
22360019
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
平山 博之 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (60271582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 悠樹 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 助教 (60514271)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2013-03-31
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Keywords | 表面 / スピン / 量子干渉 / ビスマス / 銀 |
Research Abstract |
Ag(111)表面上へのBi吸着によって出来るBi√3/Ag(111)表面では、巨大Rashba効果のためにスピン分裂した表面バンドが出現する。本研究は、このスピン分裂した表面2次元バンドを利用したスピンフィルタ作用の可能性に関して、基礎的な側面から明らかにしようとするものである。 本年度は前年度までの準備の上で、実際にBi√3/Ag(111)表面にAg原子を供給し、スピン分裂した表面バンドを持ったBi√3/Ag格子構造中にスピン縮退したAg(111)領域を形成し、その界面におけるバンド分散関係のマッチングが起こるエネルギーにおいてスピン偏極方向に応じた電子のフィルタリングが起こる可能性について検証を試みた。しかしサブモノレーヤー程度のAg原子蒸着では、Ag原子はBi√3/Ag格子中にランダムに吸着し、まとまったAG(111)ドメインを形成することはなかった。だが逆にランダムに吸着したAg原子はBi√3/Ag格子のスピン分裂した表面2次元バンド電子を散乱し、結果的にそのバンド分散関係を徐々に破壊していくことが明らかになった。具体的に得られた実験結果から、Bi√3/Ag格子中の電子系の寿命を表すグリーン関数の虚部を評価し、これがそのバンド分散関係の崩壊とどのように関係するかを明らかにすることに成功した。 またBi√3/Ag格子上に10原子層程度のAg薄膜を成長させ、Bi√3/AgとAg(111)ドメイン境界を得ることも試みた。しかしこの場合には、界面にあったBi原子がAg薄膜成長中にサーファクタントとして働き、その表面に全て拡散してきてしまうことも、本研究により明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Reason
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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