2010 Fiscal Year Annual Research Report
非線形光導波路を用いた超広帯域テラヘルツ波発生に関する研究
Project/Area Number |
22360026
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
川瀬 晃道 名古屋大学, エコトピア科学研究所, 教授 (00296013)
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Keywords | テラヘルツ / 非線形光学 / 光導波路 / トモグラフィー |
Research Abstract |
本年度は、LiNbO_3スラブ導波路を用いて広帯域化、スペクトル平坦化の実験を行い高効率化を図った。我々が取り組んできたバルク型LiNbO_3結晶によるテラヘルツ波発生では、励起光のビーム径が結晶内でのテラヘルツ波長より大きい事からテラヘルツ波が進行方向において位相不整合となり、効率を著しく低減している。一方、励起光の光路を導波路化することで位相不整合が解消され、発生効率を増大させる事が可能である。本方式は特に高周波側での発生効率の低下を回避し、原理的に波長可変域を拡大することが可能である。本研究に用いた導波路デバイスは、MgO添加LiNbO_3結晶と母材となるLiNbO_3結晶を張り合わせた後、MgO添加部を研磨によって数umまで薄くしたものである。さらに、その結晶を開口5mm程度、相互作用長50mm程度に切り出し、結晶X面に光学研磨を施し、MgO添加LiNbO_3層をスラブ導波路として使用可能にする。当該導波路デバイスでテラヘルツ波を発生させるためには、励起2波長光の偏波方向を結晶Z軸方向に合わせる事で、Z軸方向に偏波したテラヘルツ波が発生された。また、テラヘルツ波を結晶外部に取り出すために、MgO添加LiNbO_3面にシリコンプリズムを圧着する事で、結晶内でのテラヘルツ波の全反射を回避できたシリコンプリズムと導波路の間に樹脂の薄膜を挟むことで、光波を導波路に閉じ込めて、テラヘルツのみを外部に結合する方式は我々の特許であり、これを実際に用いた。このLiNbO_3スラブ導波路を用いてテラヘルツ発生の広帯域化、スペクトル平坦化の原理検証を行い、特に、数十GHz帯の低周波域から7THz付近の広帯域をカバーする発生を得た。
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