2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体結合共振器による面型テラヘルツ波発生素子の研究
Project/Area Number |
22360030
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
北田 貴弘 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 特任准教授 (90283738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井須 俊郎 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 特任教授 (00379546)
森田 健 徳島大学, 大学院・ソシオテクノサイエンス研究部, 特任講師 (30448344)
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Keywords | テラヘルツ/赤外材料・素子 / 微小共振器 / 非線形光学応答 / MBE、エピタキシャル / 半導体ナノ構造 |
Research Abstract |
結合した半導体多層膜共振器に生じる2つの異なる周波数の共振器モードを利用した面型テラヘルツ波発生素子の実現を目指し、本年度は、GaAsを共振器層とする(113)B GaAs基板上のGaAs/AlAs結合共振器について超短パルスレーザ光と光伝導アンテナによるテラヘルツ帯差周波発生信号の時間領域分光測定を実施するともに、伝達マトリックス法を使って超短パルス照射で生じるテラヘルツ帯差周波信号をシミュレートする技術を確立した。時間領域分光測定で得られた時間プロファイルには、2つの共振器モード周波数差に一致する明瞭な振動成分がみられ、その振る舞いはシミュレーション結果によりよく説明できることがわかった。また、信号強度の励起光偏光方向依存性は2次非線形分極の面内異方性の計算値とよく一致することも示された。(113)B GaAs基板上の分子線エピタキシー結晶成長と表面活性化常温ウエハ接合を組み合わせることで分極反転型GaAs/AlAs結合共振器構造の作製を試みた。反射スペクトルには2つの共振モードが明瞭にみられ、超短パルス照射により高強度の共振器モードによる和周波発生信号が観測されることから比較的に品質の良い試料が作製できたと思われる。分極反転構造の差周波信号シミュレーションを実施したところ、非反転構造に比較して1桁程度の信号増強効果があることがわかった。共振器層に用いる非線形材料探索として(113)B GaAs基板上にInAs量子ドットの作製を試みた。発光強度はまだ幾分小さいが、高成長速度でドット密度が増加し、長波長化する傾向がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
テラヘルツ波帯差周波発生には不利な分極非反転結合共振器構造でかつ超短パルス光励起という制限がありながらもモード周波数差に対応する周波数のテラヘルツ波が顕著に観測された点に著しい進展があったといえる。分極反転によるテラヘルツ波増強もシミュレーションによって具体的に示され、高品質な分極反転構造作製の目途も立っていることから今後、さらに大きく研究が進展する可能性が高い。
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Strategy for Future Research Activity |
面型テラヘルツ波発生素子の実現には、分極制御と共振器層に用いる非線形材料の選択が極めて重要であることが明らかになりつつある。結晶成長とウエハ接合による分極反転型結合共振器構造を作製する技術を高めるとともに、高非線形材料として量子ドット探索に力を入れる。
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