2011 Fiscal Year Annual Research Report
金属/誘電体ナノ周期構造による微小高感度分光プリズム
Project/Area Number |
22360031
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
菊田 久雄 大阪府立大学, 工学研究科, 教授 (10214743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水谷 彰夫 大阪府立大学, 工学研究科, 助教 (50400700)
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Keywords | 金属誘電体多層構造 / 分光プリズム / サブ波長格子 |
Research Abstract |
シリコン微細加工、ナノ構造銅メッキ技術を使って、SOI(Silicon On Insulator)基板のシリコン薄膜層に金属/誘電体多層構造をもつ微小プリズムを作製し、これが分光素子として機能することを実験で確かめた。 2011年度に確立した無電解銅メッキによるサブミクロンの開口をもつシリコン深溝構造への金属充填技術を使って、一辺10μmの三角型金属/誘電体多層構造プリズムを作製した。また、この微小プリズムに光を導くための回折格子型光結合器と光導波路が作り込まれた評価用光回路を製作した。波長1.5μmの近赤外線を使って試作したプリズムの光学分散性能を調べたところ、その屈折角度は実効屈折理論に基づいて予測される角度にほぼ等しいがものが得られ、また、波長分散においても高い性能が得られることを実証した。ただし、波長分散能は高い値を示したものの、理論値より小さい値となり、分散能の評価方法も含めて、次年度の検討課題となった。 理論的な研究においては、金属/誘電体多層構造レンズの集光スポットサイズを理論限界に近付けるためのレンズ形状の設計方法を考案した。また、2次元周期の金属/誘電体周期構造を利用した「偏光と入射角度に依存しない波長選択フィルタ」の構造を考案し、数値シミュレーションでその光学性能を確認するとともに、フィルタのための微細構造の設計方法について検討を行った。また、紫外線干渉露光と無電解銅メッキを用いて中心波長1.5μmの光学フィルタ素子を設計・試作することにも着手した。 その他、前年度に執筆した有効屈折理論に基づく金属誘電体微細構造の表面反射の解析に関する論文が学術誌に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
金属誘電体微細構造の作製プロセスは前年度に確立されていた。2011年度は、微小プリズムの光学評価に注力し、評価用の光回路の設計と試作を経て、計画通りプリズムの屈折角と波長分散を実験によって確かめることができた。ただし、光損失の程度を評価するには至らなかった。一方、無電解銅メッキを使った微細周期構造の応用として「偏光と入射角度に依存しない波長選択フィルタ」の提案に至ったことは新しい展開である。
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Strategy for Future Research Activity |
三角プリズムより高い波長分散が期待される曲面プリズムを試作し、光学性能を評価する。また、2012年度に試作した三角プリズムの波長分散能が理論予測値より小さかったことの原因を究明するとともに、光損失の評価を行う。一方、金属/誘電体の2次元周期構造による波長選択フィルタを試作し、その光学性能を評価する。
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