2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22360037
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
生嶋 健司 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (20334302)
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Keywords | 超音波 / 超伝導材料・素子 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超音波の高い内部透過性を活かした電気・磁気特性の非破壊・非侵襲イメージングの技術を開拓することである。提案する計測原理は、「超音波集束ビームにより対象物内の電荷(あるいは磁化)に時間・空間変調を与え、それに伴い発振される音響誘起電磁(ASEM)応答を検出し、対象物に内在する電気(あるいは磁気)情報を獲得すること」である。 本研究は次の二つに分類される。(1)ASEM応答の新たな高感度測定技術の開発、(2)ASEM測定の応用である。まず、(1)については、高速SQUIDによるラジオ波帯の狭帯域検波を試みた。SQUIDにLCR共振アンテナを結合させ、約3MHzを中心周波数として検波することに成功した。ただし、SQUIDの高感度を活かすためにはQ値をさらに10倍以上改善する必要がある。また、当初研究計画通りに振幅変調させた超音波によるASEM法も開発した。パルス法と比べて1000倍近く測定時間の短縮が可能であることを示した。次に、(2)についての成果を述べる。当該年度においては、まず、ASEM法による磁気イメージングを実演した。オーステナイト系ステンレス合金のストレス誘起磁化の検出に成功し、これらの実験から現在の計測システムの磁場検出感度は6Gauss/Hz^(1/2)であると評価した。さらに、GaAs、プラスチック、骨などの圧電物質に対してASEMイメージングを行った。特に、ラットの大腿骨を用いた実験により、膝側関節部の信号が局所的に大きいことが判明した。マイクロCTのデータとの比較により、膝側間接部周辺ではコラーゲン成分の割合が多いことがわかった。この実験事実はASEMイメージングがコラーゲン成分の割合を反映していることを強く示唆し、通常のエコー診断では得られない情報が獲得できることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の感度改善策として掲げた、SQUIDによるASEM検出および振幅変調超音波によるASEM検出の基本測定が可能になったから。両者とも実用的にまだ使える状態ではないものの、改善すべき点が明確となり、これまでのパルスASEM法との併用が見込まれる。一方、磁気イメージングや骨の圧電イメージングの実演を行い、通常のエコー法では得られない情報獲得ができることも示した。
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Strategy for Future Research Activity |
着実に装置開発は進んでいるものの、本研究期間内で感度改善を克服するためには、SQUID法や振幅変調法における問題点の発見および解決のスピードを速め、効率的に実用化への道筋をつけていくことが必要である。一方、骨のASEM測定では興味深い基礎データが出ているので、より詳細な分析を通して、医療関係者との連携を深めて骨診断の可能性を深く追求する必要がある。
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