2010 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導磁気レンズを使用した小型強磁場発生装置の開発
Project/Area Number |
22360039
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
木吉 司 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導材料センター, グループリーダー (00354316)
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Keywords | 磁束集中 / 磁束濃縮 / 強磁場 / 反磁性 / 超伝導体 / バルク超伝導体 / ニホウ化マグネシウム / ニオブチタン |
Research Abstract |
超伝導体の新しい応用として、2次元または3次元に電流が流れることが可能な超伝導体の内側壁が囲む面積を絞り、なおかつ周回電流が流れないようにスリット等を導入することで磁束を濃縮できること(超伝導磁気レンズ)を見出している。この磁気レンズ効果を利用することで、超伝導磁石をより効率良く製作することが期待できる。平成22年度は下記の研究を実施した。最も有望と考えられるGdBaCuOバルク超伝導体について、有限要素法を用いて、現在の知見で最適と考えられる磁気レンズの形状を決定した。内径12mm、外径42mm、高さ39mmで、入手性を考慮して高さ方向に3分割しており、所定の形状の加工に成功した。並行してGdBaCuOバルク超伝導体の円盤について、中心軸が結晶面のc軸と平行および垂直となるものを製作し、透磁率の結晶方位による差の評価を開始した。 イタリアEDISON社で製作されたMgB_2バルク磁気レンズ(内径7mm、外径29mm、高さ50mm)についても、その特性評価を液体ヘリウム中(4.2K)で行った。外部磁場を零から1Tに増加する過程では、フラックスジャンプに由来する常伝導転移が観測されたが、外部磁場3Tで超伝導転移させ、外部磁場を4Tに増加させると、磁気レンズ中心磁場は4.75Tに増加し、磁束濃縮効果が確認された。NbTi/Cu多層材については、内径が順次異なるように板を積層した磁気レンズおよび板材をコーン形状に巻いて積層した磁気レンズについて、小型冷凍機を使用し4K以下に冷却した状態で外部磁場を印加し、特性を評価した。前者で1.8倍、後者で2.4倍の磁束濃縮効果が得られたが、両者とも板材が経験する最大磁場が約0.64Tとなったところで常伝導転移し、広く低磁場を捕捉するには有効であるが、強磁場への応用は困難であると結論された。
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