2011 Fiscal Year Annual Research Report
超伝導磁気レンズを使用した小型強磁場発生装置の開発
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22360039
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
木吉 司 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝導線材ユニット, グループリーダー (00354316)
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Keywords | 磁束集中 / 磁束濃縮 / 強磁場 / 反磁性 / 超伝導体 / バルク超伝導体 / ニオブチタン / 二ホウ化マグネシウム |
Research Abstract |
超伝導体の新しい応用として、2次元または3次元に電流が流れることが可能な超伝導体の内側壁が囲む面積を絞り、なおかつ周回電流が流れないようにスリット等を導入することで磁束を濃縮できること(超伝導磁気レンズ)を見出している。この磁気レンズ効果を利用することで、超伝導磁石をより効率良く製作することが期待できる。 平成23年度は下記の研究を実施した。 これまでの結果から最も有望と考えられるGdBaCuOバルク超伝導体を磁気レンズとして、小型強磁場発生装置の設計を行った。外部磁場を発生するNbTiコイルは2個で構成され、振動の少ないパルスチューブ冷凍機で伝導冷却した状態で、108Aを通電し、中心磁場7Tを発生することとした。 GdBaCuOバルク超伝導体を用いた磁気レンズは3種類を評価した。 2個は外径が42mmで、内径を36mmから12mmに絞っている。最初の1個は高さ方向に3分割しており、高さは39mmである。本レンズは液体ヘリウム中の評価で多くのフラックスジャンプが発生し、機械的な損傷(クラック)も生じたが、損傷を受けた後も、20Kで8Tの外部磁場を印加した状態で、磁気レンズの中心磁場が12.42Tまで増加しており、磁気レンズが機械的な損傷に強いことが実証できた。2個目は1個目の構造を見直し、高さを40mmとし、分割数を2とした。20Kの運転ではフラックスジャンプは見られず、7Tの外部磁場で中心磁場は13Tに到達した。 3個目は小型強磁場発生装置に組み込む磁気レンズとして製作しており、外径が58mmで、内径を50mmから20mmに絞っている。高さ方向は2分割し、60mmである。20Kに冷却した状態で中心磁場は11.82Tまで増加しており、小型強磁場発生装置で、室温ボア10mmに中心磁場10Tを発生するという目標を達成する目処を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では小型冷凍機で伝導冷却する超伝導磁気レンズ及び外部磁場発生コイルを組み合わせて、室温の試料空間(直径10mm以上)に、10T以上の磁場を発生する小型強磁場発生装置を開発することを目的としている。平成23年度に内径20mmを有するGdBaCuO超伝導磁気レンズを20Kまで伝導冷却した状態において、外部磁場7Tを印加することで中心磁場11.8Tを発生しており、磁気レンズとして当初予定していた目標を達成した。
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Strategy for Future Research Activity |
磁気レンズとしては当初目標としていた性能が得られることを確認しており、平成24年度は当初計画通り、外部磁場発生コイルを製作し、磁気レンズとともに伝導冷却用クライオスタットに組み込んで、小型強磁場発生装置として完成する。パルスチューブ冷凍機を用いて冷却した状態で外部磁場発生コイルを励磁し、室温空間内での磁場分布やその時間変動を計測し、超伝導磁気レンズを使用した小型強磁場発生装置の有効性を確認する。
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