2011 Fiscal Year Annual Research Report
マルチスケール解析に基づくナノコンポジットの機械・電気特性の高精度評価
Project/Area Number |
22360044
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
胡 寧 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (60250685)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
福永 久雄 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50134664)
岡部 朋永 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (50344164)
渡辺 知規 千葉大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50323431)
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Keywords | ナノコンポジット / マルチスケール解析 / 機械・電気特性 / 古典分子動力学 / 界面特性 / カーボンナノチューブ / ポリマー / 第一原理分子動力学 |
Research Abstract |
本研究では,逐次型マルチスケール解析法によるナノコンポジットの機械・電気特性の評価システムの構築を目的としている.本年度には,下記の項目についての研究内容を実施した. (1)マイクロメカニクスに基づくCNT引き抜けモデルの構築 前年度で得られた原子レベルでのCNT単体およびCNTとマトリックスとの界面機械特性を用いて,一つマイクロメカニクスに基づくCNTの引き抜けモデルを構築した.当該モデルは,van der Waals力による非常特殊な効果を考慮し,CNT直径のみで引き抜き力を計算するモデルである. (2)有限要素法に基づくナノコンポジット単位セルの連続力学モデルの構築 上記のCNT単体のヤング率・強度特性,およびCNTとマトリックスとの界面機械特性を反映する引き抜けモデルを用いて,有限要素法により,母材とそのなかに埋込んだCNTを模擬するナノコンポジット単位セルを構築した.提案しできた単位セルの数値解析により,ナノコンポジットのヤング率・強度などの機械特性を評価し,既存の実験データによりその有効性を検証した. (3)3次元電気回路網モデルの拡張 前年度で得られたCNTにおける圧電抵抗特性を開発済みの3次元電気回路網モデルに入れ,上記の(2)における連続体力学モデルとの組み合わせにより,ナノコンポジットにおける巨視的な圧電抵抗特性を評価するマルチスケールモデルを構築した.さらに,当該モデルを用いて,CNTによるナノコンポジットの圧電抵抗特性を評価し,また様々な因子が圧電抵抗特性に及ぼす影響を調べた. (4)ナノコンポジットの機械特性の評価・理論モデル (1)と(2)に基づくナノコンポジットの巨視的なヤング率と強度を評価する理論モデルを提案した. (5)ナノコンポジットの電気特性の評価・理論モデル (3)に基づくナノコンポジットの電気伝導および圧電抵抗特性を評価する理論モデルを提案した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
現在のところ,申請書に記載した当初の「研究の目的」および「研究計画の内容」を完全に達成した.それ以上に,来年度の研究計画における構築したマルチスケールモデルや理論モデルの実験検証も一部完成した.また,いままで得られた結果により,既に発表した査読付き雑誌論文:19件,学会発表;28件(うち招待講演と基調講演12件),特許申請:2件,著書:1件との成果を挙げている,
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Strategy for Future Research Activity |
今年度には,マルチスケール解析モデルおよび当該モデルで得られたナノコンポジットの機械・電気特性評価の理論モデルの有効性を検証するため,下記の二つの面において研究を進めることになる: (1)実験データによるナノコンポジットの機械・電気特性評価システムの研究 CNTやVGCFによるナノコンポジットを製作し,材料試験によりナノコンポジットの機械(ヤング率と強度など),電気伝導と圧電抵抗性能を計測し,いままで得られたモデルの有効性を検証する. (2)ナノ・マイクロレベルでの材料デザイン指針の提供 さらに,得られたモデルに基づいて,ナノコンポジットの機械,電気伝導と圧電抵抗性能を向上させるための指針を提案し,材料の製作過程を改良することにより,材料の機械・電気特性を総合的に向上するつもりである.
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Research Products
(29 results)