2011 Fiscal Year Annual Research Report
高エネルギー白色X線を用いた疲労過程における結晶学的損傷評価と寿命予測
Project/Area Number |
22360046
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
秋庭 義明 横浜国立大学, 工学研究院, 教授 (00212431)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 忠弘 横浜国立大学, 環境情報研究院, 准教授 (10332644)
松井 和己 横浜国立大学, 環境情報研究院, 講師 (00377110)
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Keywords | 白色X線 / 疲労損傷 / 非破壊評価 / その場観察 / 回折強度 |
Research Abstract |
(1)H22年度に開発したその場X線観察用繰返し負荷装置に試料を装着した状態で,切欠き底やき裂先端に集中してX線を照射できるようなコリメータを試作した.コリメータ直径は0.1mmから2mmとして,照射領域の制限を可能とした. (2)アルミニウムの薄板を対象として,片側切欠き材を用意し,おおよそ塑性域寸法が2mmとなるような負荷状態で,切欠き前方のひずみ測定を行った.その結果,コリメータ直径を0.5mmとした場合,管電流100mA,管電圧50kVとすることによって十分な回折強度が得られることを確認し,得られたひずみ分布が有限要素法によって解析的に得られた結果とよく一致することを示した.また,コリメータ直径0.1mmでもひずみ分布が測定できることを示した. (3)圧延材を用いた場合,加工塑性変形による粒間ひずみの存在によって,位置による回折エネルギーのばらつきの影響が大きいことを示し,負荷による半価幅変化が極めて小さいことを示した.アルミニウムを対象とした場合には,初期の塑性変形の影響が極めて大きいことがわかった.また,銅箔を対象とした場合,塑性変形による回折線幅の変化が大きく生じることから変形損傷を捕らえることが可能であるものの,回折パターンが分離し,電着銅箔のひずみ測定のためには工夫が必要であることがわかった. (4)繰返し面外曲げを受けるエルボの疲労損傷機構を破面解析によって検討し,マルチ破壊モードに伴う低サイクル疲労損傷とラチェット変形の役割を明らかにするとともに,有限要素解析による複雑な破壊モードの再現に成功した. (5)EBSDデータから多結晶金属の構造を自動的に抽出し,三次元に拡張するシステムを構築し,任意の三次元多結晶構造に対する結晶塑性シミュレーションを可能とした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定しているとおりに,比較的大きな領域の回折線情報を利用した損傷評価パラメータの抽出に成功するとともに,微小領域測定のためのコリメータの効果も確認できたことより,白色X線法の有効性を示すことができた.ただし,評価材料の影響も大きく,今後,材料依存性について検討の必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
白色X線を用いた材料損傷評価のためには,応力評価が不可欠であり,本年度で明らかとなった粒間ひずみの影響が表れにくい手法の開発が望まれる.そこで,ゴニオメータの複数の回転軸を駆使することによって,複数の測定データを有機的に結びつけることによって応力を評価する方法を検討する.また,個々の回折面情報のみならず,複数の回折面情報から,平均的なひずみを評価する方法についても検討する.また,疲労損傷については,複雑な混合破壊モードに対する評価手法を検討するとともに,三次元多結晶構造をミクロ組織とするマルチスケール変形・き裂進展解析を実施し,ミクロ領域でのき裂進展とマクロレベルでの疲労寿命との関係を評価する.
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Research Products
(7 results)