2010 Fiscal Year Annual Research Report
目標指向型モデリングと方程式フリー法に基礎をおく計算固体力学理論の確立
Project/Area Number |
22360050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
中谷 彰宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50252606)
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Keywords | 変形体の力学 / 計算力学 / シミュレーション / 方程式フリー法 / 連続体力学 / 分子動力学 / 目標指向型モデリング / 格子欠陥 |
Research Abstract |
未来材料の構造健全性を予測可能にする創造的な計算力学的方法論の実現には、基礎となる理論やアルゴリズムが研究者の想定外の結果を発見できる能力を有しており、かつ、現象のモデリングに対して解析者の先験的な知識を必要としない方法論の構築が望まれる。その一方で、実用的な解析法たるには計算結果の信頼性の保証や誤差評価が可能で、解析者が目標として設定する強度をできるだけ精度良くかつ効率的に獲得できるようアダプティブに自ら適切な方法論を作り出していく理論体系の構築が望まれる。このような広い要求を実現するために、本研究課題では、方程式フリー法(equation-free method ; EFM)に基づく発見的な方法論に目標指向適応局所解(goal oriented adaptive local solutions ; Goals)によるモデリング誤差評価の考え方を適用することにより、目標指向型の精度保証を行いつつシミュレーションの持つ新発見性を有する学術研究の方法論としての計算固体力学理論を構築することを目的としている。 平成22年度は「高次格子欠陥を用いた非弾性変形解析理論に関する研究」を実施した。具体的には転位・回位モデルを用いた非弾性変形のモデリングを行ない。変形の素過程となる微視的現象を駆動する一般化力をエネルギー論に基づいて定式化した。また、具体的な問題として、粒界と転位の相互作用、回位モデルを用いたキンク褶曲の表現についての研究を行った。さらに、一次元格子動力学に関して、EFMを用いて運動量輸送と、エネルギー輸送の二つの典型的な問題の定式化を行った。原問題となる分子動力学解析の結果を参照系として、EFMによる粗視化モデルの妥当性を検討した。
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