2012 Fiscal Year Annual Research Report
高強度UACSの創出と熱応力緩和型CFRP/金属ハイブリッド材への応用
Project/Area Number |
22360052
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
汪 文学 九州大学, 応用力学研究所, 准教授 (40240569)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 複合材料 / 一方向短繊維複合材 / UACS / CFRP/金属ハイブリッド積層板 / 材料設計 / プロセス / 物性・評価 / 力学特性 |
Research Abstract |
平成24年度において、本研究が提案した2種類のUACSと従来のUACSの強度及び破壊様式に及ぼす3次元微視構造の影響について、以下のような数値解析と実験研究を行いました。 1)マルチスケール数値解析モデルを用い、切りこみを表す複雑なマイクロ構造と積層板の巨視的な構造のハイブリッドモデルを構築し、3種類UACS積層板の3次元応力解析を行い、切り込み角度、切り込みパタンー及びアスペクト比等による積層板の力学特性への影響を調べた。その結果、切込による単層板の剛性への影響が小さいこと、バイアングル切込UACSの単層板の剛性が一番大きいことが明らかにし、その結果を学会及び国際誌に発表した。 2)3種類のUACSの流動性実験を行った。その結果、3種類UACSが共によい流動性を示しているが、バイアングル切込UACSが一番よい流動性を示した。流動性が複雑形状の構造を成形するために欠かせない条件である。 3)ホットプレスによるUACS積層板の作製を行った。前年度まではUACS積層板の成形がオートクレブを利用したが、低コストを目指すため、ホットプレスによる成形を試み、より低コストの成形プロセスの確立に一歩前進した。 4)UACSを利用した高強度、低熱残留応力、高流動性のハイブリッド材CFRP/アルミ合金の作製研究において、切込角によるCFRP/アルミ合金の熱残留応力への影響が複雑な非線形性を示し、切込角が10°~30°間において熱残留応力が比較的に小さいことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進展している。但し、当初計画した曲げ試験と圧縮試験は、試験片成形方法の変更(オートクレブ法からホットプレス法への変更)及び試験冶具の製作の遅れにより、計画通りに完了していなくて、次年度まで引き続き行うことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
今までオートクレブ法で試験片を作製していた。しかし、自動車など各種車両への応用を考えると、ホットプレス法で複合材料部品を作製することはコストが抑えることができる。最終年度の平成25年度において、ホットプレス法で試験片を作製し、実験を行い、その結果を今までオートクレブ法で作製した試験片の結果と比べ、作製方法の違いによる積層板の力学特性の影響を調べる。具体的には以下のようなに研究を推進していきたい。 まず、前年度に引き続いて界面接合要素や積層板の損傷則を導入し、切りこみを表す複雑なマイクロ構造と巨視的な積層構造のハイブリッドモデルを用い、3種類のUACS積層板の損傷進展解析を行い、各種積層板の破壊メカニズムを調べ、実験結果と比較し、本研究が提案した新規の2種類UACS積層板:互いに違い切り込みUACSとバイアングル切込UACSが優れた力学特性を有することを明らかにする。次に、ホットプレス法を利用して3種類UACS試験片を作製し、引張試験及び曲げ試験を行い、その剛性、強度、破壊過程を調べ、オートクレブ法で作製した試験片の実験結果と比べ、作製方法の違いによる積層板の引張力学特性の影響の有無を明らかにする。更に、実用的な観点から、ホットプレス法で作製した3種類UACS試験片にノッチを導入し、ノッチによる応力集中が3種類UACS積層板の強度への影響を調べ、UACS積層板の連結構造の設計に参考になる指針を示す。最後に、4年間の研究成果をまとめて研究室のホームページで公開し、新しい一方向短繊維複合材料の選択肢を産業界に提供したいと考えています。
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