2010 Fiscal Year Annual Research Report
温度/力センサ群内蔵工具による高速切削のトライボロジー・アフィニティの解明
Project/Area Number |
22360059
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
篠塚 淳 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (30282841)
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Keywords | 切削加工 / 切削温度 / トライボロジー / アフィニティ / 熱電対 / センサ内蔵工具 / 工具摩耗 / 材料設計 |
Research Abstract |
切削加工の性能や機能を評価する最も重要な物理量は温度である.しかしながら工具-切りくず接触界面の温度分布を実用的に計測する手法が確立されていないため,未だ切削加工の諸現象は明確になっていない部分が多い.そこで,本年度は,工具-切りくず接触域の温度分布を計測できる手法を確立するため,工具ノーズ近傍に7対の微細熱電対を創成したセンサ内蔵工具を開発した.センサ内蔵工具はアルミナセラミックス工具を基板とした.工具すくい面上に創成する7本の微細センサの回路パターンは,溝幅70マイクロン、溝深さ10~50マイクロンの溝を,開発したサンドウィッチ工具を用いた超音波微細溝加工法により作成した.本手法は,板厚50マイクロンのシムシートを用いて,断面形状がセンサ回路パターンとなうようにエポキシ樹脂と交互に積層したサンドウィッチ工具を超音波加工工具とするものであり,#1500のSiC砥粒のスラリーにより10分程度で工具すくい面全面に溝を成形することができる手法である.作成した溝郡の中に,熱電対素子となる銅とニッケル薄膜を,それぞれ,無電解・電解めっきにより成膜した.アルミナセラミックス上の無電解めっき膜は,アンカー効果により付着力を高めるため,基板を450℃の水酸化ナトリウム浴に10分間浸漬した.最後に溝の中だけにセンサ素子が残るように,工具表面をラップ加工した.7対の熱電対からの熱起電力を外部に取り出すため,ブレーカピースに同様の手法により端子溝を作成し,配線を埋め込んだブレーカピースを作成した.作成した微細熱電対の熱起電力特性を実測したところ,高純度の銅/ニッケル熱電対の熱起電力の10%程度しかないことが分かった.これは無電解・電解めっきで作成した薄膜の結晶組成が非晶質であるためと考えられ,これはめっき液の調整と熱処理等により解決できると考えている.
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Research Products
(3 results)