2011 Fiscal Year Annual Research Report
温度/力センサ群内蔵工具による高速切削のトライボロジー・アフィニティの解明
Project/Area Number |
22360059
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
篠塚 淳 横浜国立大学, 工学研究院, 准教授 (30282841)
|
Keywords | 切削加工 / 切削温度 / トライボロジー / アフィニティ / 熱電対 / センサ内蔵工具 / 工具摩耗 / 溶着物 |
Research Abstract |
工具-切りくず接触界面の潤滑特性は温度によって強く支配されている.このため,工具-切りくず接触界面のトライボロジー特性とアフィニティ特性を詳細に解明するためには,まず工具-切りくず接触界面の温度分布を把握することが必須となる.そこで,工具すくい面上の工具-切りくず接触界面に線幅100マイクロンの7対の銅-ニッケル微細熱電対を創成したインテリジェント切削工具を提案する.この工具を用いれば,切削しながら工具-切りくず接触界面の温度分布を7分割で計測できるようになる.7対の微熱電対は銅-ニッケルで構成する.これら微細熱電対は,提案した超音波微細溝加工法で作成した熱電対回路パターン溝の中に,無電解めっきと電解めっきで創成する.これまでに,上記の微細熱電対内工具の回路パターン溝の創成法と無電解めっきと電解めっきによる熱電対素子の成膜法の両方を確立した.また工具からの熱起電力を外部のレコーダーに伝達するための,端子内蔵のチップブレーカーの作成法も確立した.さらに,めっきで作成した微細熱電対の熱起電力特性を詳細に把握するために,真空チャンバー内で900℃程度まで加熱できる温度校正装置を考案し,この装置の試作を行った.本温度校正装置は,ハロゲンランプを加熱源とし,工具表面の微細熱電対部分のみを高温に加熱できるように,工具下部,端子内蔵のチップブレーカー周辺を水冷する機構を持っている.各場所の温度計測点は最大32点である.この装置を用いて,銅やニッケルの電解めっき成膜条件に対する銅-ニッケル微細熱電対の熱起電力特性を計測した結果,電解めっきの成膜条件に関わらず,ほぼワイヤーの銅-ニッケル熱電対と同等の熱起電力特性があることが分かり,十分に温度計測が可能であることが分かった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
工具-切りくず接触界面の温度分布を計測するための,めっきで作成する微細温度センサ内蔵工具の作成法を確立した.めっきで作成した微細温度センサの熱起電力特性を評価する温度校正装置を開発し,熱起電力特性の把握を検討できた.しかしながら,当初の予定では,センサを電気的に絶縁するための窒化ケイ素被膜をイオンプレーティングで成膜する手法を確立するとしていたが,試作したイオンプレーティング装置の調整に時間がかかり十分に確立できなかった.またスパッタでPZT皮膜を成膜することに関しても,最適条件を見出せていない状況にある.
|
Strategy for Future Research Activity |
工具-切りくず接触界面の温度分布を計測するための微細センサ内蔵工具を用いて実用的に切削温度を計測する.切削実験を実施し,温度に対する,工具-切りくず接触界面のトライボトジ・アフィニティ特性の解明を検討する.別実験で,MnSを添加した快削鋼の切削速度150m/sに至る高速切削試験を実施したが,切削速度によって工具すくい面上のMnとSの溶着の状態が異なることが分かった.今後は,溶着状態が異なる理由について,温度を指標として解明することを試みる.
|
Research Products
(4 results)