2012 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザー加工におけるパルス累積効果の新しい可視化方式による解明
Project/Area Number |
22360060
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 義郎 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (60176378)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 浩已 長岡技術科学大学, 工学部, 准教授 (60272861)
田邉 里枝 長岡技術科学大学, 工学部, 助教 (70432101)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | レーザー加工 / 超短パルスレーザー / 可視化 / 高速度撮影 / 衝撃波 / レーザーアブレーション |
Research Abstract |
本研究では、短パルスレーザー加工における、同一箇所に照射されるパルス数、すなわち累積パルス数の影響について、パルスレーザー光源と高速度ビデオカメラを組み合わせた、新しい撮影方法によって可視化し、詳細に検討することを目的としている。 超硬のパーカッション穴あけの際の試料表面の形状変化について、光学系を改良し画像の鮮明度を上げることができた。これに基づき、パルスエネルギーや繰り返し率の影響を、昨年度に引き続き検討した。これらの研究成果の一部は、国際学会等で発表を行った。加工用レーザーや照明用レーザーに不具合が発生したため、予定外の修理費の支出に迫られてしまった。また、加工用フェムト秒レーザーと照明用レーザーの繰り返し周波数とに、わずかな差が生じ、累積パルス数が300パルスより多くなるとこの影響が現れ始め、照射パルスと照明パルスとのずれが大きくなってしまった。そこで、これまでのタイミング回路を改良し、照明用レーザーのクロックを基準として、加工用レーザーを外部同期で発振させられるように、制御系の改良を行っている。 これまでの研究で開発したシステムを、当初の研究計画に沿って、高速度光弾性ビデオ撮影法という新しい可視化方法に発展させた。これを用いて、短パルスレーザーによる水中でのレーザーピーニング過程を観察、レーザー照射後の衝撃波と圧力波の伝播挙動と、水深や表面コートがそれらに与える影響についてを、可視化することに成功した。また、水中でレーザーによって生じた気泡が膨張後に収縮、崩壊する過程とそれに伴う2次的な衝撃波、応力波の発生についても、明瞭に観察することに成功した。レーザーパルスエネルギーや水深、表面コートがこの2次的な応力発生にどのように影響するのかについても、詳細に検討可能なデータを得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画に対して、若干の遅れが出ている面と進展している面がある。超短パルスレーザー加工における累積パルス数の影響の研究では、加工用のフェムト秒レーザーに何度か不具合が生じ、予定していた実験をすべて行うことはできなかった。原因の一部はレーザーメーカでも十分には解決できておらず、引き続き問題となっている。より出力の小さいレーザーへの変更する可能性について、検討している。 一方で、レーザー誘起現象の動的光弾性撮影による検討については、興味深い結果を多数得ることができ、新しい可視化法の確立とその有効性を実証することができていると考える。この手法を用いて、透明材料のレーザーによる内部加工におけるパルス累積効果の検討を開始している。 フェムト秒レーザーの不具合の影響が大きいため、全体としてはやや遅れていると評価したが、当初の計画以上に進展している課題もある。
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Strategy for Future Research Activity |
超短パルスレーザー加工における累積パルス数の影響の研究では、加工用のフェムト秒レーザーの不具合解消に努めるとともに、より出力の小さいレーザーを用いる可能性について、検討している。加工用レーザーの切り替えはさほど困難ではないと考えているので、年度途中で判断したい。 加工用フェムト秒レーザーと照明用レーザーの繰り返し周波数とのわずかな差によるずれに関しては、照明用レーザーのクロックを基準として、加工用レーザーを外部同期で発振させられるように、制御系の改良をすすめており、これを早期に完成させる。 レーザー誘起現象の動的光弾性撮影による検討については、透明材料のレーザーによる内部加工におけるパルス累積効果の検討を行っていきたい。 研究のまとめの年度でもあり、これまでの成果を論文として公表するとともに、国際会議等で、世界に向けて成果の発信に努めていく。
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Research Products
(12 results)