2011 Fiscal Year Annual Research Report
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22360067
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
保坂 寛 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 教授 (50292892)
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Keywords | ジャイロ / 振動 / 発電機 / 情報機器 / 電磁ダンピング / ランダム振動 / モータ |
Research Abstract |
携帯情報機器やセンサネットワークの電源確保のため,人や移動体の振動で高効率な発電を行うジャイロ型発電機を開発する.本年度は,入力変動が大きい場合のロータ回転の安定化法を研究した。 1.ロータの非定常運動解析 入力変動が大きく,ロータ軸が転がるトラックが反転する場合も扱える運動解析法を開発した.トラックからロータ軸に加わる押し付け力が負の場合にトラックが反転するとし,滑りによる反転前後の自転速度変動を考慮して,ロータの運動方程式を数値的に解いた.その結果,入力振動の位相急変時には自転方向が一定のまま歳差回転が反転し,また,すべりによる運動エネルギ損失が大きい場合には失速することが分かった.さらに実験により理論の妥当性を確認した.以上により,任意の入力条件での運動解析が可能となった. 2.自己起動による小型発電機の起動と入力変動が大きい場合の安定化 22年度に開発した小型発電機に対して,クローズドループの自己起動法により,静止状態からの起動に成功した.また自己起動を,入力変動が大きい場合の回転安定化に応用した.自転速度が安定限界以下となったら発電機をモータにとして作用させ,以上となったら発電機に復帰させる.実験により,本手法により任意の入力振動に対して安定回転可能なことを確認した.また,入力変動が大きい場合には,平均発電量が負となることが判明した. 3.ランダム振動発電機の考案 如何なる振動入力に対しても平均発電量が正となる発電機構造を考案した.ロータの自転と歳差の回転軸を分離し,モータにより常時自転を与え,外力振動によりロータを歳差運動させ,電磁誘導による発生電圧をダイオードで整流し,自転に帰還する方法である.簡単な試作機により,原理の妥当性を確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した,「ロータの非定常運動解析」,「小型発電機の自己起動」,「ランダム振動に対しても発電可能なロータ回転方式」のすべてを達成した.さらに,自己起動技術を入力変動が大きい場合の回転安定化に応用した.
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Strategy for Future Research Activity |
ランダム振動発電機を改良する. 1.実験機の製作 2重ジンバルによりロータとモータを支持する扁平な発電機を製作する.ロータの歳差,章動角をエンコーダにより計測可能とし,さらに,微小な歳差振動によっても高い電圧出力が可能なように,電機子を多極化する. 2.理論解析 ロータ運動を理論解析し,実験機の最適設計条件を明らかにする.ジンバルばねの特性を考慮したジャイロ振動の方程式を数値的に解き,摩擦や電気抵抗の無い理想状態での発電量を求める.
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