2011 Fiscal Year Annual Research Report
無潤滑超低摩擦・耐摩耗カーボン系硬質膜の静摩擦係数減少のための設計指針の確立
Project/Area Number |
22360069
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
梅原 徳次 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70203586)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上坂 裕之 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90362318)
野老山 貴行 名古屋大学, 大学院・工学研究科, 助教 (20432247)
宇佐美 初彦 名城大学, 理工学部, 教授 (80278324)
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Keywords | トライボロジー / 機械要素 / 静摩擦 / 動摩擦 / DLC |
Research Abstract |
本研究では,超低摩擦.超耐摩耗のカーボン系硬質膜の静摩擦係数の減少の制御指針を確立することを目的とした。カーボン系硬質膜としてはDLC膜を「表面波励起プラズマと負バイアス電圧を用いた高密度プラズマ発生法(MVP法)」によるプラズマCVD法で,メタンガス,アルゴンガス及びTMS(トリメチルシラン)ガスを種々の割合で原料ガスとし供給し,種々の断面曲線及び材質のDLC膜を作製し、DLC膜の粗さと硬さの評価を行った。その後、SUJ2金属球及びTPEとの大気中で往復摩擦実験を行い、静摩擦係数及び動摩擦係数を明らかにした。具体的に得られた研究成果を以下に示す。 (1)成膜時間の増加に伴い表面粗さRaは基板の290mmより増加し,最大445mmRaとなり,その後減少し基板と同様の表面あらさに減少した. (2)成膜時間の増加に伴い静摩擦係数及び動摩擦係数は共にわずかに減少し,その後表面あらさの減少と共に減少した. (3)DLCの断面曲線から微小突起の傾斜角を算出し,その平均値と摩擦係数の関係を明らかにした.その結果,平均傾斜角と共に両摩擦係数共に増加することが明らかになった. (4)成膜時間及びバイアス電圧を変化させ,微小突起の傾斜角を減少させるだけでは,静摩擦係数を減少させることは困難であることが明らかになった.そのため,静摩擦係数の凝着項に及ぼす膜材質,表面エネルギーを種々の湿度下で今後検討することとした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CVD法で成膜した.DLC膜において成膜条件,特に成膜時間を変化させることで,表面あらさをRa及び突起傾斜角で変化させることが可能になっている.これにより種々の微小突起が安定して作成でき,摩擦のメカニズム解明には重要な進展である.
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Strategy for Future Research Activity |
微小突起に基づく表面あらさの静摩擦及び動摩擦に及ぼす影響が明らかになっている.次に,雰囲気と摩擦の凝着項の関係を明らかにし,設計指針として提案する.
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