2011 Fiscal Year Annual Research Report
超高密度情報記録システムのためのナノ分子流体膜のトライボダイナミクス評価
Project/Area Number |
22360071
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
福井 茂寿 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (40273883)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 広成 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (10314569)
|
Keywords | 情報精密機器 / ナノトライボロジー / 液体超薄膜 / 分子間力・表面張力 / 長波方程式 / ヘッド・ディスク・インターフェース / 分子気体潤滑 |
Research Abstract |
本研究の目的は、超高密度磁気ディスク装置用のヘッド機構実現を目指して、3nm程度以下の超微小すきまで相対すべり運動する記録ヘッドの動的挙動を、ミクロ/ナノメータ領域における分子気体や分子液体による力学作用を考慮して詳細に解析しうるシミュレーション技術および物性評価の高精度技術を開発し、これによりヘッド形状設計のための指針を得ることである。 平成23年度には、超高密度記録実現の有力技術である、(1)BPM(Bit Patterned Media)媒体を対象に、BPM媒体上のヘッド浮上特性、(2)熱アシスト記録(TAMR)方式を対象に、加熱された固体面上の液膜変形とヘッド浮上特性の解析、(3)その他を行った。より具体的な研究実績は、以下の通りである。 1.BPM媒体上のナノメータ浮上ヘッドの浮上特性の解析 走行方向に凹凸分布(すきま分布)と屈折率分布(ファンデルワールス分布)を併せもつディスク面上を走行するナノメータ浮上スライダの動特性解析手法を確立し、すきま変動量を明らかにした.特に,BPMディスクにおける凹凸分布と屈折率分布の相互の関係(位相)の影響を明らかにした。 2.TAMRにおける加熱された記録面上のnm浮上ヘッドの分子気体潤滑(MGL)特性と液膜変形 i)境界面に局所的な温度分布を有し数nm程度の超微小すきまで対向しかつ走行する場合に生ずる発生圧力を、この状況で特有な熱ほふく流をも考慮したMGL方程式を用いて基本解析を行った。ii)局所的に加熱されたディスク面上の超薄膜の液体潤滑剤の液膜変形特性を、加熱実験および長波方程式解析により明らかにした。iii)レーザ加熱による液膜/基板系の熱伝達とマランゴニ効果および不安定現象を、理論的・数値的に明らかにした。 3.その他 液体超薄膜の基本特性の検証のため、メニスカス破断時の液体移着量を、実験的・解析的に解明した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
将来の超高密度記録に適したBPMディスク上のヘッド浮上特性の全体像が明らかになりつつあり、また、境界面温度分布を考慮した浮上特性の理論的・数値的解析手法も確立されつつある。本研究の目的達成に向けて、概ね順調に推移していると考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、境界面温度分布を考慮した浮上特性解析として、これまでの分子気体潤滑方程式に基づく特性解析と相補的な関係にある直接シミュレーションモンテカルロ(DSMC)法を用いた解析結果と比較検討し、より精緻な解析を進める。
|
Research Products
(6 results)