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2011 Fiscal Year Annual Research Report

単一液滴の抵抗低減に及ぼす周囲蒸気凝縮効果の考究による革新的洗浄法素過程の解明

Research Project

Project/Area Number 22360073
Research InstitutionHokkaido University

Principal Investigator

渡部 正夫  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30274484)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 真田 俊之  静岡大学, 工学部, 准教授 (50403978)
小林 一道  北海道大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80453140)
矢口 久雄  群馬工業高等専門学校, 機械工学科, 助教 (20568521)
Keywords混相流 / 液滴 / 液滴衝突 / 気液界面 / 液膜 / 相変化 / splash / 洗浄
Research Abstract

本年度は特に,液滴衝突後に半径方向に進展する液膜流れ(lamella)の形成に着目した.液膜先端界面の不安定性が増大すると、進展液膜先端から微小液滴の飛散が観察されsplashが形成される.lamellaが対象物表面に沿って流れると強いせん断力が発生するが、splashが形成されると、液体が対象物表面に沿って流れないためせん断力が大きく減少してしまう凝縮の効果によってsplashの形成が抑制され、液膜が対象物に沿って流れることが可能となり、大きなせん断力が維持されることも、洗浄効果が得られる要因のひとつであると考えている.そこで,水、エタノール、水/エタノール混合液の液滴を、異なる表面粗さを有する固体表面へ自由落下させ、その変形過程を観察し,液滴の物性値、特に表面張力の変化や固体表面粗さ、さらに液滴周囲気体圧力に着目し液滴衝突過程の観察を行った.特に、lamellaやsplashの形成条件に及ぼすこれらパラメータの影響を明らかにすることを目的とした.また、周囲気体圧力を変更し、その影響を調査した.
その結果、従来の実験で観察されているように、We数が数百の液滴は、水の場合にlamellaのみが観察され、表面張力の低いエタノールではsplashの形成が観察された.水/エタノール混合液の液滴では,エタノール割合が多くなると、表面張力が減少しsplash の形成が顕著となった。また,smooth surfaceでlamellaのみが観察された条件であっても,固体表面の表面が粗い場合にはsplashの形成が観察された.周囲気体圧力を減圧すると、大気圧下でsplashの形成が観察されていた条件であっても、lamellaのみが観察されるようになった.さらに、rough surfaceであっても減圧下の条件ではlamellaのみが形成されることを明らかにした.

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の目的は,水蒸気と水液滴のみの混相噴流を高速で対象物に噴霧することにより,化学薬品を使用しない全く新しい革新的洗浄法である混相噴流洗浄法の基本原理を明らかにすることである.本研究では特に気液界面における凝縮効果を,固体表面に衝突後に発達する液膜に着目している.
今年度は特に凝縮効果に着目し,真空チャンバ内で液滴衝突実験を行い,液滴周囲雰囲気の違いによって,液滴衝突後の液膜の発達過程に差異が生じることを確認した.この結果より,液滴周囲雰囲気は液滴衝突過程,特に衝突後の液体の流れ場において,非常に大きな影響を及ぼしていることが明らかになった.本研究開始時には仮説でしかなかった「液滴衝突における凝縮効果」を,より具体的に検討することが可能となり,凝縮効果を含む液滴周囲雰囲気は液滴衝突後の液体の流れ場の発達に大きな影響を与えることがわかった.
特に,研究開始時においては,液滴が固体表面以前に働く凝縮効果が大きいと考えていた が,凝縮効果は液滴衝突後の液膜成長に大きな影響を及ぼすことが実験結果より示唆されることとなり,これは,本混相噴流洗浄法の基本原理解明における研究指針を構築する上で,非常に有効な実験的証拠を提供することとなった.

Strategy for Future Research Activity

今年度の研究成果により,本混相噴流洗浄法の素過程として考えられる固体表面への液滴衝突および液滴衝突後に発達する液体の流れ場においては,液滴周囲雰囲気が非常に大きな影響を及ぼすことが明らかになった.特に液滴衝突後に発達する液膜の流れ場が,周囲雰囲気によって全く異なったものとなることが明らかとなった.この結果をふまえ,今後は液滴衝突後に発生する液体の流れ場に着目する.
具体的には,固体表面を薄い液膜として流れる流れ場(lamella)と固体表面から離れて飛散する流れ場(splash)の二つの流れ場に着目し,この二つの流れ場の遷移過程に着目する.これまでの研究により周囲雰囲気を調整することにより,splashが抑えられることが明らかになっており,これはすなわち液膜流れによるせん断力が増加することとなるため,本混相噴流洗浄法において洗浄力の増加につながる効果であると新たな仮説がたてられた.この仮説を検証するためには,lamella-splashの遷移を支配するメカニズムを明らかにすることが必要不可欠であることが明らかとなった.そのため,より高速な液滴衝突を観察し,splashの発生メカニズム解明に注力する.

  • Research Products

    (3 results)

All 2011

All Journal Article (1 results) Presentation (2 results)

  • [Journal Article] 水蒸気と水の混合噴流による洗浄技術2011

    • Author(s)
      真田 俊之, 渡部 正夫, 関 映子, 林田 充司
    • Journal Title

      砥粒加工学会誌

      Volume: 55 (11) Pages: 540 - 643

  • [Presentation] 高速液滴の衝突時に発生する最大圧力に関する数値計算2011

    • Author(s)
      立藏祐樹, 小林一道, 渡部正夫
    • Organizer
      日本混相流学会年会講演会2011
    • Place of Presentation
      京都工芸繊維大学 ( 京都市左京区 )
    • Year and Date
      20110805-20110807
  • [Presentation] 固体表面に衝突する単一液滴の変形挙動の観察2011

    • Author(s)
      櫻井泰貴,藤川俊秀,渡部正夫,真田俊之,小林一道,藤川重雄
    • Organizer
      日本混相流学会年会講演会2011
    • Place of Presentation
      京都工芸繊維大学 ( 京都市左京区 )
    • Year and Date
      20110805-20110807

URL: 

Published: 2014-07-24  

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