Research Abstract |
水路(流路断面0.1×0.1m2)の入口部に樹脂製のフラクタル格子を設置し,その下流に生成されるマルチスケール誘起乱流の特性とスカラー拡散場を時系列粒子画像流速計(TR-PIV)と平面誘起レーザ蛍光(PLIF)法を用いて計測した.TR-PIVおよびPLIFの計測には,精度を向上させた独自開発のアルゴリズムを用いた.比較実験として,従来から用いられている正方格子についても同様の実験を行った.その結果,マルチスケール誘起乱流では非常に強い乱れが生成され,スカラーの混合が著しく促進されることが明らかとなった.ただし,速度と濃度の同時計測には至っていない.フラクタル格子を用いた風洞実験では,I型熱線プローブを用いた乱流計測により,Mazellier & Vassilicos(Phys.Fluids 2010)の実験データを検証した,様々な乱流統計量を比較した結果,既往研究と同様のデータが得られることがわかった.また,y-z断面計測のための自動トラバース装置を製作し,熱線プローブによる断面多点計測(500点程度)を可能とした.さらに,マルチスケール誘起乱流中でのスカラー拡散に関する三次元直接数値解析(DNS)コードを開発し,スーパーコンピュータを用いて計算を行った.計算時間の制約から,これまでのところ,実験と異なり断面平均された統計量のみしか評価できていないが,過去の実験と定性的に一致する結果が得られた。以上,当初の計画通りに研究が進んでおり,計測システムおよび計算コードが確立されたので,次年度以降のスムーズな研究遂行が期待される.
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