Research Abstract |
本研究は,特別の保炎機構を持たない管状火炎燃焼器を用いた,新方式の低NOx/CO超小型蒸気発生器の開発を通して,燃焼による発熱と水管による抜熱・蒸気発生・管内沸騰流の動的練成(相互干渉)機構について理論的実験的に解明し,状態予測のための動的モデルの構築,さらに蒸気発生器全体のシステム安定化最適化を図る. 本年度は,管状火炎の炉筒面と水管での伝熱特性の把握を目的として,燃焼量4-8kWにおいて熱伝達率の評価を行った,その結果,管状火炎の火炎領域においては火炎の周りが未燃混合気で覆われるため熱伝達率はきわめて低く,火炎領域の熱移動は熱伝導モデルで評価できることを明らかにした.燃焼が完了後の火炎領域下流部の燃焼ガス領域においては,火炎端直後で高い熱流束を示し,その後,流れ方向への低下する.別途行った非燃焼場での熱伝達率測定および流れの可視化実験と比較した結果,旋回流の減衰による熱伝達率の低下であることが示された. 上記により明らかとなった伝熱特性を用いて,管状火炎を用いた過熱蒸気発生器を設計,製作した.蒸発量90cc/min,230℃の過熱蒸気の発生に成功した.NOxは6ppm,COは30ppmの排出である.水の予熱,蒸発,過熱の各部の熱伝達率は,上記の特性と一致することが確認された. 炉筒面の熱伝達率の測定では,900mmの二重管式熱交換器を設置した.火炎領域では熱伝達率は低いために炉筒面温度は低いが,火炎より下流部では高温の燃焼ガスにさらされるため,炉筒面温度は急激に上昇し,二重管式熱交換器内に急激な温度分布が生じ,レイケ管と同様の現象の熱音響振動が観察され,燃焼と伝熱の動的な練成振動が発生した,なお,過熱蒸気発生器では燃焼ガス下流側にフィンを設けることにより固有振動数が外れ,振動は発生しないことを確認した.今後,燃焼と伝熱の練成振動問題の解析と解決策の検討を行う.
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