2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22360094
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
鎌倉 友男 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 教授 (50109279)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 英之 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (90334763)
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Keywords | パラメトリックスピーカ / 超音波暴露 / 位相反転駆動 / デジタルアンプ / 主観評価 |
Research Abstract |
超音波暴露の課題は,本研究の音響システムの開発における重要な研究テーマである。すなわち,超指向性パラメトリックスピーカは強力な超音波を放射することから,特に近距離場で利用する場合,人体,特に聴覚に対して超音波が何らかの悪影響を与える可能性がある。空中超音波の暴露については古くから調査されて,20kHz以上の高周波で音圧レベル115dBの上限値がガイドライン値として推奨されている。しかしこの値は産業用機器に携わる作業者でしかも8時間照射に対する衛生安全面からの推奨値である。パラメトリックスピーカの場合は,多くの場合照射時間は短く,しかも40kHz付近の狭帯域スペクトルである。そこで40kHzの超音波を3分間呈示した前後での可聴音に対する聴力検査を行ったところ,115dB呈示,呈示無し,120dB呈示では,主観評価アンケートを含め,聴力損失は認められないことが示された。115dBの音圧レベルを短時間に超えることは聴覚に大きな負担を与えないにしても,極力音圧レベルを下げる工夫が必要である。この問題については,前年度から引き続き,超音波エミッタの開口形状や超音波駆動方式について検討を進めた。結論として,開口面をいくつかの領域に分け,それらの領域を互いに逆位相で駆動し,更に各領域の駆動振幅について重みを課すことで,パラメトリック再生音についてはおよそ3dBの音圧レベルの低下に止め,超音波はおよそ10dBほどの低減の目標にほぼ近いデータが得られた。省電力化の一環として数年前からパラメトリックスピーカ専用のデジタルアンプの試作を行っているが,試作器では従来のアナログアンプと比べて20~30%の電力で済むことが分かっている。更なる高性能なデジタルアンプの試作を手がけているが,高周波スイッチング回路の実現化等の課題で来年度に引き続き検討することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H23年度の研究課題とした超音波暴露の位相反転駆動方式の実現化については,ほぼ目標値まで達したと評価した。ただ,高性能なデジタルアンプの試作完成や,残響場での本音響システムの利用についてはまだ実験が十分に進められていないことからやや遅れていると総合的評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までの達成度で記述した課題のうち,高性能なデジタルアンプの試作についてはほぼ目処が付いているので,H24年度早々にでも目的が達せられる。従って,本音響システムの残響場での利用の有効性について,実験を主体に集中的に行う予定である。
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Research Products
(7 results)