Research Abstract |
本研究では,これまで単純なモデルに対して検討を行ってきた「エネルギーに着目した動的強度評価手法」を複雑なモデルへ適用し,一般化を図ることで,エネルギーベースの限界強度評価手法並びに機械設備の地震後再起動評価手法の基礎を確立することを目的としている。平成23年度は,平成22年度に設計・製作,予備実験を行った1質点系モデルを用いて,破損とエネルギーの関係を検討するための振動実験を行った。また,2質点系モデルの設計・製作を行った。 1質点系モデルを用いた振動実験では,幅数cm,高さ数十cmの棒の上部に25kgの質量を載せた供試体を,供試体の固有振動数と同等の振動数を有するスイープ波により長時間加振することで破損させ,エネルギーと破損の関係を検討した。棒の断面形状が25mm四方の供試体を基準として,断面係数や断面二次モーメントがそれと等価な供試体複数種に対して同様の実験を行った。なお,固有振動数はいずれも約20Hzである。その結果,これまでに数百gオーダーの供試体で確認していた破損とエネルギーの関係,すなわち,「疲労寿命が長いほど破損には多くのエネルギーを要する」という現象を,いずれの供試体でも確認することが出来た。断面形状と破損に要するエネルギーの関係は鋭意検討中である。 また,2質点系モデルにおいては,1質点系モデルの固有振動数と同等の振動数を有することを目標に設計を実施した。有限要素法などによる検討の結果,幅数mm,高さ数十cmの棒の中間及び上部に数kgの質量を載せた供試体を設計,製作した。1次,2次固有振動数の実測値はそれぞれ約4Hz,約20Hzであり,設計目標を満足している。今後は,本モデルを用いて振動実験を行い,破損とエネルギーの関係を検討することで,エネルギーに着目した動的強度評価手法の複雑なモデルへ適用を図るとともに,1質点系モデルでの実験結果と比較することで,手法の一般化を目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
東日本大震災に伴う実験施設の損傷調査,2011年夏期の節電要請により,振動実験設備を使用することが出来ず,やや遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
「11.現在までの達成度」に記載した通り,平成23年度に予定していた振動試験の一部が実施出来なかったため,平成24年度に実施する。なお,実験に使用する供試体はこれまでに設計・製作されていることから,速やかに実験可能である。
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