Research Abstract |
先ず,モータ全体の評価に先立って,ステータにおける波動励振とパワー回収効率に関しての評価実験を行った。ステータとして基板寸法90x13x1mm^3のニオブ酸リチウム128°回転Y板,X伝搬を用いて,開口幅9mmのIDTを反射器付で作製した。この素子を用いて,レイリー波伝搬および回収効率と整合および進行波励振条件を実験により確認した。励振に関しては,反射器を付けたことにより反射器の無い場合に比べて1.7倍の電力が波動として変換されている事が分かった。ここでの変換効率は85%となった。また,整合抵抗70Ωにおいて定在波比1.2となる進行波が得られることを確認した。整合抵抗での電力回収率は65%であり,素子での波動励振と受波において,35%のパワーロスの有ることを明らかにした。 弾性接触理論に基づいて開発した,弾性表面波モータの動作解析ツールに,スライダ突起が波動の進行方向に分布する効果を加えることで,摩擦駆動により波動が減衰する効果を取り込んだシミュレーション方法を検討した。改良した解析ツールでは,一つの突起を波動が通過する度に波動電力が減少する量を評価し,振幅値を更新して,次の突起に到達した波動が推力を発生するようにシミュレーションをしていくようにした。この方法により,動作解析が可能であることを明らかにした。 モータとしての動作を評価するため,5x5,5x10,10x10mm^2のスライダを用いて,予圧および駆動電圧を変化させて特性評価を行った。これまでの評価では,波動伝搬方向に10mmのスライダでは,後方において波動振幅の減衰が大きくなるために,十分な推力を得られないために効率の低下が生ずることを明らかにした。そのため,スライダが大きい方が推力は大きくなるが,効率の観点から,スライダ長を長く取ることは好ましくなく,5mmとするのが適切で有ることを明らかにした。
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