2011 Fiscal Year Annual Research Report
バッファリングを有するナノパターンド微粒子3次元光メモリ
Project/Area Number |
22360104
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
江上 力 静岡大学, 工学部, 教授 (70262798)
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Keywords | 光記録 / 顕微鏡 / 非線形光学 |
Research Abstract |
本研究では国が提唱するグリーンIT化政策の一課題であるデータ記録システムの低エネルギ・大容量化というテーマに加えて,超高密度光メモリにて将来最も問題視されているジッター(クロック信号とビット列再生信号の時間軸上でのずれ)とエラーレートをいかに低減するかという項目に論点を絞り研究を行っている.ナノパターンド微粒子を記録媒体として利用することにより原理的にジッターが全く発生しない,大容量フォトンモード低エネルギ高密度3次元光メモリの開発が目的である.ナノ微粒子を使ったメモリ媒体からジッターフリー化技術・多値化技術を利用する記録再生顕微機械システムまでの包括的なメモリシステムの実現を目指し3年間での研究開発を行う. 今年度,具体的には直径200nmのナノ微粒子の周りにバッファリングと呼ばれる非感光領域を形成し,それを3次元的に配列させたナノパターンド光ディスクサンプルの合成・作成に目処をつける予定でいたが,予算削減の報道もあり物品購入を一時停止し,再開後その条件出しに手間取った為,計画が若干遅れ気味である.その分,同時進行で行っていた光ピックアップとなる低NA(開口数)レンズを使用した偏光干渉レーザ顕微鏡の作製および,同システムでの十分なコントラスト比・SN比での信号検出実現のための光学的な理論解析を行い,ほぼ予定する分解能,コントラスト比での検出が可能であることを実証した.その成果を下記の国際会議において報告した.僅かな光パワーで記録した微粒子光ピットにおいても比較的大きなSN比でのビット再生が可能であることも分かった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
200nm径の微粒子周辺にバッファリングと呼ばれる非感光領域を有するナノパターンで微粒子光ディスクを作成し,光記録実験を行う予定でいた.ところが予算削減の報道もあり,途中予算執行を止めた為,再開後バッファリングサンプル作成の条件出しに試行錯誤した.そのため全体的にスケジュールが遅れている.投稿論文の出版においてもMol.Cryst.Liq.Cryst.誌にてアクセプトされた論文が現在インプレスとなっているが今年度内の印刷には間に合わなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
同課題の補助は残り1年となってしまうが,その期限内にはナノパターンド微粒子光ディスクと超高分解能光ピックアップのセットアップまでを実現できるよう推進する.但し,今年度ナノ微粒子光ピックアップシステムの高空間分解能化の為の理論解析を行っていくうちに,光ディスクのより高密度化を実現するには単なるビットピックアップとしてのシステム開発では高密度化に限界があり,ナノピットの偏光解析にまで理論を拡張する必要があることが分かった.今年度はこれら諸課題を考慮した上で軌道修正を試みる.
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