2011 Fiscal Year Annual Research Report
歩行・走行の歴史的伝統的運動様式の生体力学分析と応用
Project/Area Number |
22360107
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
長谷 和徳 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (10357775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 卓也 首都大学東京, 理工学研究科, 教授 (50220736)
山田 洋 東海大学, 体育学部, 准教授 (30372949)
太田 進 名古屋大学, 医学部, 助教 (50452199)
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Keywords | バイオメカニクス / スポーツ健康福祉 / 振動モード / 動作計測 |
Research Abstract |
本研究の目的は,ナンバ歩き,ナンバ走りと呼ばれるような歴史的伝統的な古来日本人の移動様式を取り上げ,通常の歩行走行との相違を生体力学的に分析し,その長所短所を明確化することである.実験については,本年度は新たな実験は行わず,昨年度,東海大学にて実施した実験データの中で未処理であった筋電図測定結果について分析を進めた.その結果,ナンバ動作と通常動作の筋電図波形を比較すると歩行時では通常動作のほうが筋負担が小さいのに対し,走行時ではナンバ動作のほうが相対的に筋負担が小さいことが明らかとなった.これは昨年度に実施した振動モード解析の結果と対応するものであると考えられる. ナンバ動作のように体幹の動きに注目した福祉機器,リハビリ機器として,歩行アシスト装置と体幹姿勢の簡易計測評価システムの開発を行った.歩行アシスト装置では,脚の内外転運動をモータ駆動により支援する装置の開発を行った.これは長下肢装具にモーターとリンク機構を取り付けたものであり,所定の動作が実現できることを確認した.今後は股関節の屈曲伸展動作を簡易的にアシストする機構の設計を行う予定である.体幹姿勢の簡易計測評価システムとして,安価な曲げセンサと加速度計(傾斜計)を用いたウエアラブルな計測システムの作成を行った.さらに,この計測システムと筋骨格モデルとを連動させることで,姿勢の良否を生体内負荷に基づいて行うことを可能とした.構築したシステムを用い,計測精度は必ずしも十分でない点もあったが,動作の相違による生体内負荷の相違を識別できることを確認した. また,本年度において床反力を計測する移動式フォースプレートを導入したが,実際の計測には十分に利用するには至らなかった.これについては次年度以降対応したい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文投稿としては必ずしも十分な数とはなっていないが,成果としては実験系,開発系ともにいくつか揃いつつあると考えている.しかし,本研究の中で最も基本となる取り組みは身体動作を振動モードの観点より分析する取り組みであるが,これについて本年度は進捗がなかった.次年度以降改めて検討したい.
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Strategy for Future Research Activity |
身体運動の振動モード解析について,さらなる検討を進める.すなわち,従来モデルで未完成であった床面からの反力を解析において反映できるようにしたい.実験的な課題としてはナンバの動きを臨床・リハビリに応用する取り組みについて分担者と共同して取り組みたい.また,開発系の取り組みとして,歩行アシスト装置などについて試作機を完成させ,体幹の動きに注目したアシスト機器が有効であることを確認したい.
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