2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22360118
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大村 一郎 九州工業大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10510670)
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Keywords | パワーエレクトロニクス / パワー半導体 / 電力用ダイオード |
Research Abstract |
昨今の電気電子機器に整流ブリッジなどで莫大な数用いられている電力用ダイオードに着目し、大量生産可能なインフラを持つシリコン技術で、従来にくらべ50%程度の損失削減の原理確認と基本設計の完了を狙う。本技術のPC用のACアダプタへの適用のみで、毎年2MWの大型風力発電を50機導入するのと同等のCO2削減効果が得られる。従来PiNダイオードの電流導通では定常的に電子及びホールが素子内に注入され続け、素子内部でそれぞれのキャリアが再結合しているメカニズムであったのに対し、本研究では、再結合の量を極力減らし、必要最小限の電子及びホールを10MHzから1GHzの高周波でパルス的に注入する構造と回路を付加することによって、実質的に0.4V以下で導通を可能なダイオードを実現する。 (1)数学的モデルと最適制御アルゴリズムの構築と検討 前年度の数値解析結果のデータを基に、数値モデル化の基礎データを取得。そのモデルに基づき、制御アルゴリズム構築に必要な最適パルス周波数とパルス幅を見出した。 (2)アルゴリズム研究 実験的に評価用の専用回路を構築し、評価を行った。回路上のインダクタンスを極力減らすことで、駆動制御も含め本コンセプトを実験的に実証できた。 (3)具体的構造の検討(当該年度に特許出願済み) シリコンパワー素子で一般的なトレンチゲート構造を用いることで、素子内に注入制御構造をインテグレーションし、シミュレーションで実証。構造は特許出願。基本構造は現状のトレンチIGBT (Insulated Gate Bipo1ar Transistor)の構造を一部変更したものであり、IGBTの微細化研究とも関連付けて研究を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の原理実証に対し、実際の半導体プロセスで比較的容易に製造できる構造を考案できた。また、その際のゲート制御の最適パルスについてもデータを得た。以上の知見は(論文発表前に)特許出願を行った。また外国出願も予定している。構造の微細化について、IGBTの微細化と関連付けて詳細に検討を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究で得たデータを基に、センス回路、アルゴリズムを演算するロジック部、スイッチ部、高耐圧デバイス部の5つの機能をチップ上へのインテグレーションの可能性を検討する。特に、文献などの調査から、半導体プロセスの微細化と高耐圧素子構造の両立について調べ、微細化構造で同等の効果が得られる構造とその効果をシミュレーションで実証する。また試作のためのプロセスについて机上見当を行う。昨年度の研究で、実際に実現できる集積化構造が、トレンチIGBTの裏面構造を変更した構造で可能であることが分かったので、トレンチIGBTの微細化研究とも関連付けて、構造の最適化を行う。
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Research Products
(3 results)