2010 Fiscal Year Annual Research Report
磁界と温度の2つのリスク要因を分離配置した超伝導コイルの熱電磁特性評価と最適設計
Project/Area Number |
22360120
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
住吉 文夫 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 教授 (20136526)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川越 明史 鹿児島大学, 理工学研究科(工学系), 助教 (40315396)
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Keywords | 超伝導 / コイル / 線材 / 導体 / 損失 / 電磁特性 / 健全性 / 診断 |
Research Abstract |
超伝導コイルの性能を向上させるために,磁界最大点と温度最高点を分離するコイル設計法を提案している。このために高い断面アスペクト比をもつテープ線材を活用する。 平成22年度は,臨界電流の格段の向上と交流損失の大幅な低減効果が確認されているMgB_2テープ線材について,この線材を使用したテストコイルの交流損失特性を測定した。その結果,理論的な予測値とほぼ一致すること,また丸線で巻いたコイルよりも低損失であることを明らかにした。また,このMgB_2テープ線5本を使って,積層転位導体を試作し,劣化なく作製できることを確かめた。 次に,トロイド型コイルの性能向上のために,D型断面変形トロイダルコイルに特殊な巻線方法を採用することを提案した。この巻線方法では,一部の巻線密度を調整することにより磁界分布を制御した。その結果,巻線密度を調整した方が高臨界電流であることを理論的に明らかにした。 本研究で提案しているコイル設計法の効果を明らかにするには,巻線となる高い断面アスペクト比の線材自体や巻線されたコイルの電磁特性を詳細に明らかにする必要がある。そこで,線材周辺のポインチングベクトル分布を測定する装置の改良を行った。ポテンシャルリードとピックアップコイルで構成される測定センサー対を,これまでの可動型から,多数の測定センサー対を固定設置する固定型にした。多数のポテンシャルリードを設置してもサンプルへハンダ付けする端子対は1対で良いことを理論と実験から明らかにした。この改良により,測定センサー対をサンプルに近づけることが可能になり,その結果,ポインチングベクトル分布がより詳細に測定できるようになった。極低温中の駆動機構の不具合をなくすこともできた。さらに,この方法を応用し,高温超伝導コイルの巻線の健全性を,保冷容器外側の室温空間から診断できる画期的な測定法も確立させた。
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Research Products
(13 results)