2012 Fiscal Year Annual Research Report
Si集積回路の限界打破のための結晶成長からのアプローチ
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22360131
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
成塚 重弥 名城大学, 理工学部, 教授 (80282680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上山 智 名城大学, 理工学部, 教授 (10340291)
丸山 隆浩 名城大学, 理工学部, 教授 (30282338)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | MBE、エピタキシャル / 結晶成長 / 電子デバイス・機器 / 格子欠陥 / 超高速情報処理 / 窒化ガリウム / シリコン / 集積回路 |
Research Abstract |
低角入射マイクロチャンネルエピタキシー(LAIMCE)に関し以下に示す成果をあげた。 1)「グラフェンマスクによるGaAs選択成長」 マスク材料検討の一環としてグラフェンマスクを用いた選択成長をおこなった。この場合GaAs基板を用いる必要があるので、低温でのグラフェンマスクのCVD成長条件の導出が必須であった。通常グラフェンは800℃以上の高温で成長している。しかし、この温度でGaAs基板を処理することにより、As抜けによる基板の劣化の発生は避けられない。そこで、触媒金属ならびにCVD成長条件を検討することにより、450℃という低温でなおかつパターン加工したグラフェンを成長することに成功した。このよう作製したグラフェンマスクを使用し、GaAsの選択成長の低温化にも成功している。 2)「Tiマスクを使用した窒素ラジカル限源を用いたGaNの低温選択成長条件」 800℃以下では窒素ラジカル源を用いてもTiマスク表面が窒化しないこと、また、Tiマスクを用いるとGa吸着原子の表面拡散距離が長いことを発見した。この事実を利用し、800℃という低温においてGaNの窒素ラジカル源を用いた選択成長に成功した。再蒸発を利用したGaNの選択成長条件は930℃という高温であったので、今回の条件は大幅な低温化となる。その結果、GaN成長層の表面荒れも抑制できた。 3)「MOMBEを用いたGaN LAIMCEの合体による平坦化」 MOMBEを用いたa面GaNのLAIMCEにおいて隣り合う成長層同士を合体させることにより、成長層の平坦化をはかった。LAIMCEでは分子線を低角で入射するため、隣同士の成長層が近づくと成長層側面への原料の供給が難しくなるが、表面吸着原子の表面拡散を有効に利用するなどして、極めて平坦で、横方向成長領域では大幅な転位低減化が達成されたGaNテンプレート基板の作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MOMBEを用いたLAIMCEにおいて、隣同士の成長層を結合させることによる成長層の平坦化に成功した。透過電子顕微鏡を用いて横方向成長領域を観察したところ、大幅な転位の低減を確認するなど、予想を上回る成果をあげることが出来た。これらの成果は、本研究課題の核心を担うものである。すなわち本年度は、目的としていたGaNのLAIMCEに成功したばかりか、従来では難しかったa面GaNの転位低減化にも成功している。また、成長層の平坦化にかかわる成果は、今年度計画しているa面GaN LAIMCEテンプレート基板上でのナイトライド系発光素子作製を加速するものである。 本研究課題の他の研究目的であるSi基板を用いたGaNヘテロエピタキシャル成長ならびにInGaAsのLAIMCEに対する研究展開に関しては計画が遅れ気味ではあるが、上記LAIMCE関連の実験に成功していることから、これらの研究課題に関する基本的な原理確認をおこなえば、上記で開発したGaN LAIMCE技術と組み合わせることにより、初期の目的を達成できるものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
MOMBEを用いて作製に成功したa面GaNテンプレート基板を用いて、ナイトライド系発光素子の作製をおこなうことを本年度の最終的な課題とする。 a面GaNは無極性面でありa面GaNテンプレート基板を用いることで、ナイトライド系光学デバイスの効率を劣化させる大きな問題点である量子閉じ込めシュタルク効果を回避することが可能である。従来、r面サファイア上に成長したa面GaN層中には10の10乗台の転位が存在し、良好な特性を持つ素子を作製するためにはその低減化が強く求められていた。本研究課題により昨年度までに開発された手法を用いれば、MOMBEによるa面GaN横方向成長層中での大幅な転位の低減化が可能である。また、隣あった成長層同士を結合させることにより、テンプレート基板の平坦化にも成功しているので、転位密度の極めて低いa面GaNのテンプレート基板を供給することが可能である。本年度は、この基板を用いたナイトライド系発光素子作製をおこなう。 さらに、Si基板上でのGaNの横方向成長、クラッキングセルを用いた高InAs組成を持つInGaAsの成長可能性の検討、グラフェン等のマスク材料の開発ならびにLAIMCEが持つ3次元構造における内部応力の有限要素法による検討などの要素技術の開発もおこなっていきたい。これらの要素技術の開発に成功すれば、当初の目的を原理的な観点において達成できるものと考える。
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Research Products
(27 results)