2010 Fiscal Year Annual Research Report
組成、構造が制御されたβジケトン系金属錯体の創成とその薄膜デバイスへの応用
Project/Area Number |
22360132
|
Research Institution | Sendai National College of Technology |
Principal Investigator |
羽賀 浩一 仙台高等専門学校, 地域イノベーションセンター, 教授 (30270200)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宍戸 統悦 東北大学, 金属材料研究所・金属ガラス総合研究センター, 研究推進研究員 (50125580)
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所・金属ガラス総合研究センター, 准教授 (00302208)
関 成之 仙台高等専門学校, 知能エレクトロニクス工学科, 助教 (50449378)
|
Keywords | 酸化亜鉛 / 透明トランジスタ / MO-CVD / 結晶配向性制御 / ベータージケトン系金属錯体 |
Research Abstract |
ZnO薄膜原料として使用するZn(C_5H_7O_2)_2・xH_2Oファイバー原料は、試作した昇華・再結晶化装置で準備し、その作製条件は昇華温度160-180℃、昇華圧力500-800hPaとした。MO-CVDによるZnO薄膜の堆積は、基板温度500-530℃、反応容器圧力500-650hPaとした。ZnO薄膜の酸素原料となるオゾン原料は反応容器内にZn原料とは個別に導入した。ZnO薄膜の堆積基板として、物性値の評価にはPyrexガラス及びZnO-TFTの試作を想定してSiO_2/p-Si基板を用いた。電気抵抗はPyrexガラス基板にZnO薄膜を堆積し、Al電極を平行平板形状に蒸着して測定した。 試作した原料はプラズマ発光分光分析により組成を評価した。比較として昇華・再結晶化前の粉末原料についても評価を行い、これらの試料は3回の分析結果の平均値を求めた。粉末原料に比べてファイバー試料はHとOが僅かに減少し、Cの増加が確認できる。これは、(C_5H_7O_2)_2・xH_2O原料中の水分子が昇華により容器外に排出されたものと考えられる。真空中のDTA測定から、80℃付近の水和水からなる吸熱ピーク温度はファイバー原料の作製条件である昇華圧力が上昇するに従い、減少する傾向を示した。FT-IR ATR測定結果から、市販の粉末原料とZn(C_5H_7O_2)_2・xH_2Oファイバー原料では80℃付近に見られる水和水の量が異なることも確認できた。 ファイバー原料を用いたMO-CVDによりZnO薄膜を作製し抵抗率を測定した。ZnO-TFTの活性層に適した10^9(Ωcm)オーダーの試料を作製出来たが、まだ、測定値のバラツキが大きく作製条件が最適化されていない。 東日本大震災の影響により研究の途中で作製装置、分析装置が甚大な被害を受け、3ヶ月間の研究延長を願い出たが、この期間で研究設備の復旧には至らず研究が大幅に減速した。
|