2010 Fiscal Year Annual Research Report
高度な量子情報通信機能に向けた半導体中の単一不純物準位の制御と利用に関する研究
Project/Area Number |
22360133
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
佐久間 芳樹 独立行政法人物質・材料研究機構, 量子ドットセンター, 主幹研究員 (60354346)
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Keywords | 量子閉じ込め / 量子ドット / 励起子 / 単一光子 / 等電子準位 / 不純物 |
Research Abstract |
平成22年度は、本研究の目的に沿って下記の2項目の検討を行った。 1.新たな等電子トラップ不純物の探索 GaP中の新たな等電子不純物としてBiドーピングを試みた。Biは原子半径が大きく電気陰性度が小さいため、GaP中のPサイトを占めたBiは正孔をトラップする準位として作用すると考えられる。Biの原料としてトリメチルビスマス(TMBi)を入手し、成長温度650℃にてドーピング実験を行ったが、SIMS分析ではBiのドーピングは確認できなかった。原因調査の結果、Bi原料であるTMBiに技術的な問題があることが明らかなたっため、メーカーと議論を進めて新たに合成を行って原料の再入手まで完了した。 2.等電子トラップ適用材料の拡張 新たにGaAs中への窒素(N)ドーピング実験を行い、Nによる等電子準位に起因する輝線スペクトルと、単一の等電子準位発光センターでのアンチバンチングの観測に成功した。GaAs:N系での単一光子発生の実証は世界初の成果である(波長920nm付近)。GaAs中の単一発光センターの発光寿命測定を行った結果、5K程度の温度で1~2nsであることがわかり、GaP系での数十nsの値と比べて圧倒的に短いことがわかった。GaAsの直接遷移型バンド構造が反映されているものと考えられる。しかし、GaP:N系との大きな違いとして、GaAs:Nの場合には顕微分光で輝線スペクトルが確認されるものの、発光エネルギーが決まった値にならないことがわかってきた。今後、GaAs:N系の発光センターのオリジンとともに、発光エネルギーがばらつく原因を明らかにしていく必要がある。
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