2011 Fiscal Year Annual Research Report
呼気分析のための高感度・超低容量赤外ガス分光分析システムの開発
Project/Area Number |
22360135
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松浦 祐司 東北大学, 大学院・医工学研究科, 教授 (10241530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 崇史 東北大学, 大学院・工学研究科, 准教授 (90415125)
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Keywords | 呼気分析 / 赤外分光法 / ラマン分光法 / 中空光ファイバ / ガス分光分析 |
Research Abstract |
本研究の目的は,呼気中に含まれる微量成分の検出が可能な装置を開発することである.その方法として,導波機能を有する中空伝送路により構成した高感度かつ超低容量のガスセルを用いる手法を採用し,今年度においては次の2つの事項について検討を行った. 1.中空光ファイバ型ガスセルを用いた測定システムの特性検証 ファイバ型ガスセルを用いた赤外分光装置を用いて,NO基準ガスを低濃度に混合したものをサンプルとして,定量性の評価を行った.得られた吸収スペクトルに対して,各種の演算処理を行うことにより精度が向上し,数ppmのガス濃度を定量的に測定することが可能となった. またさらに測定感度を向上させるために,CRD分光装置で用いるものと同じ量子カスケードレーザ(QCL)を導入し,これを光源として用いたガス検出系を構築した.光強度の増大により原理的には大幅な感度向上が期待されるものの,現状では出力の不安定性や電気的なノイズが問題となり,上記と同程度の感度にとどまっているが,今後,これらの問題を解決することにより,感度の増大が見込まれる. 2.CRD分光のための超低損失赤外共振器の製作 表面が理想的に平滑であるガラスストリップ表面に,スパッタリング法により誘電体層を形成し,4つのストリップを精密に組み合わせることにより低損失導波路を製作することを試みた.誘電体材料としては多層膜の低屈折率層となるアルミナと高屈折率層となるシリコンの2種類について検討した.スパッタリング成膜時の条件を最適化することにより,高反射率を呈する膜の生成に成功し,これを組み合わせた導波路を作成したところ,誘電体薄膜を形成していないものと比較して大幅な低損失化を達成した.今後はこれらの材料を組み合わせた多層薄膜を形成することについて検討する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
中空光ファイバ型ガスセルを用いた測定システムについては予定された感度が得られ,CRD分光のための超低損失赤外共振器の製作については,低損失導波路の実現に成功している.
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Strategy for Future Research Activity |
中空光ファイバ型ガスセルを用いた測定システムについては,QCLを用いた高感度化について実験的に検討を行う.今後はppbオーダの濃度のガス検出を目指す.CRD分光のための超低損失赤外共振器の製作については,多層薄膜内装導波路を早期に実現し,共振器の製作およびCRD分光装置の構築を行う.
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