2011 Fiscal Year Annual Research Report
モンテカルロ法にもとづくタイミング解析高速化の研究
Project/Area Number |
22360143
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐藤 高史 京都大学, 情報学研究科, 教授 (20431992)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
越智 裕之 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (40264957)
筒井 弘 京都大学, 情報学研究科, 助教 (30402803)
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Keywords | 集積回路設計 / 電子回路CAD / タイミング解析 / モンテカルロ法 |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き、モンテカルロ法による統計的タイミング解析を高速化するための並列計算アルゴリズムの検討、および、時間的にパラメータが変動するばらつきモデルについての基礎検討を実施した。 1)タイミング解析アルゴリズムに関しては、昨年度検討した回路の最遅到着時間の伝搬をFPGA上にタイミンググラフの構造通りに実現する方法、を発展させ、汎用のタイミング計算専用演算器を定義し、これがメモリに数値を読み書きするプロセッサ型の実装方法を提案した。この実装では、モンテカルロ試行レベルでの並列化を実現できる。従来法に存在していた回路規模の制約を無くし、大規模回路にも効率よく適用できる見通しを得ている。また、回路が変わる度に実行する必要があったFPGAへのマッピング処理を不要とし、実質的な解析時間を低減した。同時に、良質な乱数を多数同時に出力可能な乱数生成器をFPGA上に実現することで、従来手法と遜色の無いスループットが得られることを確認した。 2)トランジスタの特性ばらつきは、チップ内の信号伝搬遅延時間に多大な影響を与える。近年になって、特にトランジスタのしきい値が回路の動作中、経時的に変動するNBTIやRTN等の現象がタイミングに与える影響が大きくなってきている。これらの影響をタイミング解析にフィードバックするため、チップ試作により特に時間的な変動に関するデータを取得した。チャネル面積の小さいトランジスタでは、全トランジスタの経時変化量やその速度が同一でなく、これらもトランジスタごとに異なっていることを実験的に明らかとした。さらに今後、ばらつきの影響が特に大きいと考えられる低電圧での回路動作と関連したタイミング解析についてもチップ試作を通じて検討を実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タイミング解析の並列化は24年度に実施する予定であったが、専用演算器による実装の着想を得たため、1年前倒しで成果を得ることができた。一方このため、タイミング解析に用いるべきモデルの検討が、計画よりもやや遅れている。両者を総合すると、おおむね計画どおりの進展と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、おおむね計画通りに研究が進んでいることから、研究計画に沿って今後も研究を進める。
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Research Products
(21 results)