2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノカーボン材料を対象とした電子ビーム構造制御の理論解析
Project/Area Number |
22360145
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
安田 雅昭 大阪府立大学, 工学研究科, 准教授 (30264807)
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Keywords | 電子ビーム / ナノカーボン / 照射効果 / 構造制御 / 分子動力学法 |
Research Abstract |
ナノカーボン材料の電子ビーム照射による構造変化を制御するための基礎的知見を得ることを目的に、電子衝突過程を確率論的に組み込んだ分子動力学法により、電子照射による構造変化過程の照射条件依存性を解析した。特に電子ビームによる材料の切断や曲げ加工と機械的強度の改変を対象に以下の成果を得た。 単層カーボンナノチューブを試料として電子ビーム照射による切断の照射エネルギー依存性を解析し、照射エネルギーにより切断に要する時間と切断部周辺の損傷の程度が異なることを示した。また、高温での電子照射では、切断に至る前に照射量に応じたチューブ径の収縮が見られた。さらに、電子ビーム照射による曲げ加工において屈曲角が照射領域の面積とチューブ径に依存することが分かった。ここで得られた成果は欠陥生成を抑制して、高効率にナノカーボン材料を電子ビーム加工する条件を探索するための基礎的データとなりうる。 次に、電子ビーム照射を受けた単層カーボンナノチューブの引張りと捻り強度の解析を行い、照射エネルギーや照射時間の増大にともない材料の機械的強度が低下することを示した。また、室温で照射された単層カーボンナノチューブは引張りや捻りに対して急峻な破断を示すが、高温で照射されたナノチューブは緩やかに塑性変形することが分った。また、二層カーボンナノチューブでは電子照射により層間に架橋結合が形成されるため、照射損傷が比較的小さい照射条件では見かけ上の引張り強度が増加することが分った。
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Research Products
(6 results)