2011 Fiscal Year Annual Research Report
室温動作の薄膜磁界センサアレイによる生体磁気計測およびイメージング
Project/Area Number |
22360166
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Research Institution | Tohoku Gakuin University |
Principal Investigator |
薮上 信 東北学院大学, 工学部, 教授 (00302232)
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Keywords | 磁界センサ / 心磁界計測 / イメージング |
Research Abstract |
高誘電体基板とCoNbZr薄膜を用いた伝送線路型薄膜磁界センサにより健常者の心磁界計測を実施した。単独の磁界センサを走査することにより磁気シールドルーム内において健常者胸部付近の複数点の心磁界を計測した。心電計のR波を基準とした加算処理により、心磁界のQRS波およびT波が再現性良く計測できることを示した。また複数の被験者に対して心磁界計測を実施したところ、それぞれの被験者の個性に応じた波形が得られ、それらのQRS波およびT波は心電計の波形とおおむね同期した。さらに得られた心磁界波形は複数点のSQUID磁束計で報告されている心磁界波形とほぼ対応することがわかり、開発したセンサにより心磁界が定量的に計測できていること、および大まかに心臓内部の興奮部位の位置推定が可能となる見通しを得た。 またアレイ化を目指してセンサ素子全体を微細加工プロセスにより一体化したセンサ素子を設計および開発した。センサ素子は歩留まりを向上させる観点から比較的単純な構成である、コプレーナ型を採用し、CoNbZr薄膜、SiO_2薄膜およびCu薄膜をRFスパッタおよびリフトオフプロセスにより積層化した。その結果磁界に対するキャリアの位相変化感度が100degree/Oe以上となるセンサ素子を比較的歩留まり良く作成できることを示した。これにより一体的に加工した薄膜磁界センサでも心磁界計測に必要な感度が得られた。またセンサ素子のヘッドサイズは5mm×2mmであり、心磁界計測に必要な空間分解能は得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
単独の磁界センサで合理的な心磁界計測結果が得られ、2年後に完成予定の磁気イメージングの見通しがえられたこと、およびアレイ化を目指す薄膜磁界センサが試作でき、心磁界計測に必要な感度が得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
主な課題は下記の通りと考えている。 (1)磁界センサ素子を多数個アレイ化するためには、特性(感度およびバイアス磁界等)のばらつきの少ない高感度磁界センサを作製する必要がある (2)信号処理回路のさらなる低ノイズ化 (3)差動センサ素子の適用等による外来ノイズの効果的な抑制
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