2011 Fiscal Year Annual Research Report
構造物ヘルスモニタリングセンサへの効率的な無線電力供給に関する研究
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22360182
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Research Institution | Kajima Technical Research Institute, Kajima Corporation |
Principal Investigator |
名児耶 薫 鹿島建設株式会社 技術研究所, 先端メカトロニクスグループ, 主任研究員 (50416715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴 建次 東京理科大学, 基礎工学部, 准教授 (10343112)
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Keywords | 電力伝送 / 電磁界共鳴 / 共振 / ワイヤレス給電 / モニタリング / 健全性評価 |
Research Abstract |
電磁界共鳴方式による無線電力供給技術は高Qアンテナ設計によって実現するため,その周辺に存在する誘電体,導電体,或いは磁性体などの外的要因や送受電アンテナの距離や向きによる相互リアクタンスの変化によって電力伝送効率に大きな影響を及ぼし,これを如何に補償するかが課題となる.そこで,送電側キャパシタンスを可変コンデンサで調整し相互リアクタンスの変化を相殺し,また相互リアクタンスの変化に伴った共振周波数の変化を電源周波数の調整によって補償する方法を検討し,共振応答制御装置の開発によって高効率で安定した電力伝送を実現した.引き続き平成23年度は,構造物に埋設する受電側のセンサデバイスの設計・開発をおこなった.センサ含めデバイスを構成する電子部品等の長期耐久性や耐候性等に関して検討余地を多分に残しているものの,実用的な計測精度やコストなどにおいて既存のひずみゲージやひずみ変換式センサ(各種土木計測器)を利用することが当面有利であると考え,汎用ひずみ計を利用したセンサデバイスを試作し,室内実験によってその動作および実用性を確認した.但し,本システム運用に際し,電波防護指針や電磁干渉の規定など電波法を遵守することが必須であるが,全く新しい技術分野であり現状ではこれらの指針や規定との明確な関連付けが十分に行われていない.今後,法的課題を明らかにし実用化に向けた検討を行う必要があるが,センサデバイスへの給電効率や周辺への電磁界影響について具体的な数値を示せるようになった意義は大きい.また,モーメント法による電磁界解析により電力伝送シミュレーションと送受電コイル設計の定量化に関する検討を行い,送受電コイル単体のインピーダンス特性(Q特性)とエアギャップ長1mにおける電力伝送解析結果は室内実験結果と概ね一致する結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していた研究工程に沿って概ね実施できている.
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Strategy for Future Research Activity |
電磁界共鳴現象を利用した本研究開発中の無線電力伝送システムは,その運用に際し電波防護指針や電磁干渉の規定など電波法を遵守することが必須であるが,全く新しい技術分野であり現状ではこれらの指針や規定との明確な関連付けが十分に行われていない.現在,総務省の電波政策懇談会を受けて発足したブロードバンドワイヤレスフォーラムによって暫定ガイドラインが示されているものの,未だ総務省による電波法等の改正は行われておらず,平成26年度に発表される見込みである。したがって当面は現行電波法の規制範囲内で運用する必要があるため,平成24年度は実用・展開に向けた法的課題の整理とその対応について検討を進める.
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