2012 Fiscal Year Annual Research Report
廃棄物地盤における環境リスクの低減と,サステイナブルな社会への貢献
Project/Area Number |
22360185
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
勝見 武 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (60233764)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
乾 徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90324706)
稲積 真哉 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (90362459)
高井 敦史 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (30598347)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 地盤環境工学 / 廃棄物処分場 / 不均質性 / 災害廃棄物 / 強度・変形特性 / 分別土砂 / 自硬性 / 東日本大震災 |
Research Abstract |
循環型社会の構築には,廃棄物の発生を極力低減させるとともに,埋め立てざるを得ない廃棄物については埋立完了後,当該地を土地資源として有効活用することが望ましい。このため適切な埋立管理工法の導入および廃棄物地盤の強度・変形特性といった地盤工学的特性の解明が重要であるが,依然として処分場の廃止に時間を要すること,時間的,空間的な不均質性が大きいため評価方法が確立されていないこと,等の課題が挙げられ,その解決を図る必要がある。 平成24年度は,特に,海面埋立処分場内部の廃棄物地盤の強度特性評価,および東日本大震災で発生した分別土砂の地盤材料としての利用に向けた検討,を行った。前者に関しては,実際の焼却施設から採取した焼却灰を用い,海面処分場内部の廃棄物の強度特性について,特に経時変化に着目して検討を行った。その結果,焼却灰に含まれるカルシウム分に起因して試料内部にエトリンガイト等が生成され自硬性を発揮するため,廃棄物地盤は時間の経過とともに砂地盤と同程度の強度を確保しうることが明らかとなった。後者については,東日本大震災で発生した災害廃棄物とその分別土砂を対象とし,地盤材料としての特性評価を行った。災害廃棄物処理の過程で発生する分別土砂は相当量の木くずを含んでいるため,それらが及ぼす物性への影響を定量化する必要があるが,検討の結果,木くずの混入量がある程度抑制できれば,十分に締固めができ,高い強度が発揮されることが明らかとなった。そのため適切な材料管理によって,地盤材料として有効利用できる可能性が高いと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度は,(1)海面埋立処分場の廃棄物地盤の工学的特性と経時変化,(2)東日本大震災で発生した分別土砂の有効利用に向けた地盤材料特性評価,を行った。(1)については,焼却灰中のカルシウム分等に起因して発生するエトリンガイトや水和生成物が強度増加に寄与するため,砂地盤と同程度の強度を発揮しうることが明らかとなった。また(2)については,災害廃棄物処理過程で混入する木くず量をある程度抑制できれば,地盤材料として分別土砂を有効利用しうる可能性が示唆された。これらの知見は,海面埋立処分場跡地の有効利用,分別土砂の再資源化と処分量の低減,に資する極めて重要な知見であり,当該研究の目的でもあるサステイナブルな社会の実現に大いに貢献するものと判断できる。そのため,本研究は順調に進捗したといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
災害廃棄物やその分別土砂に混入している木くずは有機物であるため,地盤材料としての利用に際しては,長期的なガス発生,腐食による強度変化等を考慮する必要がある。また木くずの混入は強度特性にも影響を与えることから,今後は長期挙動に着目した室内試験の実施と,利用用途に応じた分別土砂の要求品質の体系化に向けた文献収集,資料整理を行う必要がある。
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Research Products
(28 results)