2011 Fiscal Year Annual Research Report
シルト・粘土を多く含む地盤の波浪作用下における応答と物性変化メカニズムの解明
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22360186
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
土田 孝 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (10344318)
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Keywords | 軟弱粘土 / 含水比 / 含水比 / 液性限界 / 降伏値 / 細粒分 / 亀裂 |
Research Abstract |
浅瀬や干潟のような水深の浅い場所において,粘土を含む軟弱な底泥上を強い波浪が進行する際に,部分的な含水比減少・せん断強度増加箇所の発生,細粒分が減少するという物性変化が底泥において発生することが確認されている。これらの物性変化は波浪が作用する時に底泥表面に発生する亀裂が大きな要因であり,亀裂の発生は底泥表面に作用する水圧勾配が周期的に変動することが原因であると考えられる。 本研究では,底泥および波浪の条件が異なる波浪作用実験を,亀裂と物性変化の関連性について検討を行った。さらに,使用した粘土試料のレオロジー特性を調査し,波浪作用下における底泥の安定性(亀裂の発生)を評価できる安定解析法について検討した。 波浪作用実験の結果から,亀裂発生と物性変化に関係があり、亀裂の開閉時に底泥内部の細粒分が分離することを確認した。回転粘度計から求めた底泥の降伏値を強度と考え,円弧すべり安定解析を行って得た安全率は,波浪作用下の底泥の安定性をよく表現することがわかった。さらに底泥の降伏値は、地盤工学において粘土の力学特性を把握する時に用いられる重要な指標である液性限界、練返し粘土の代表的な強度であるベーンせん断強度と明確な関連があることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
波浪の作用と底泥の関係について底泥の降伏値に着目することで明確にすることができつつある。論文についても24年度の海岸工学講演会に3編投稿中であり、英文ジャーナルへの投稿も予定している。予定通りに進捗していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は地盤工学と海岸工学の境界領域の問題を取り扱ってきたが、粘土と波浪作用の関係についてこれまでの両分野の成果を結びつける結果が得られてきたので、引き続き現在のアプローチを継続するとともに、既往の研究をこれまでに得られた成果によって見直すことも意義のある研究手法と考える。
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