2011 Fiscal Year Annual Research Report
水文データを利用した種多様性と遺伝的多様性の関係解明と流域環境評価への適用
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22360192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 聡 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50272018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 達夫 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30111248)
西村 修 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (80208214)
真砂 佳史 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (50507895)
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所, 准教授 (50222104)
横尾 善之 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (90398503)
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Keywords | 遺伝子解析 / 生息場 / HSI / 流出解析 / 数値地図 |
Research Abstract |
数値シュミレーションにより算定された種多様性と実際の採集データに基づく遺伝的多様性を使用している.種多様性はHSI(Habitat Suitability Index)モデルを使用して算出した種多様性(以下,HSI種多様性)を使用した.本研究においては,過去の研究によって推定した水生生物のHSIより算定されたHSI種多様性と水生昆虫のウルマーシマトビケラの遺伝的多様性との関係を評価した.対象流域は宮城県のほぼ中央部に位置し,流域面積939km^2の名取川流域である. HSI種多様性とヘテロ接合度He(ρ=0.39,P<0.05)およびθS(ρ=0.48,P<0.05)は有意な正の相関を示した.これはVellend2)における最も一般的な両多様性の相関パターンと一致する.この結果は,HSIを算定した6種に適した生息環境においてウルマーシマトビケラは多様な遺伝子を有していることを示している.正の相関が導かれた要因は2つ考えられる.1)複数の水生生物種の生息適性から推定された指標であるHSI種多様性が高い場所においては,種の移入・定着ポテンシャルが高いと言える.これに基づき,外部からのウルマーシマトビケラ個体群の移入および定着が容易であると仮定すると,定着プロセスに伴い遺伝子プールのサイズが増加し,結果として遺伝的多様性が増加したことが考えられる.2)HSI種多様性の高い場所においては多様な種が生息していることが予想される.この種の多様さが環境異質性の高さに起因すると仮定すると,ウルマーシマトビケラ個体群が多様な環境条件に適応し,結果として遺伝的多様性が増加したことが考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標である遺伝子多様性と種多様性の関係を上記のようにラフではあるが,示すことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
上記成果の普遍性を得るために,他の水生生物や温度依存性についての解析を進める必要がある.また,解析データを増やすために実測回数を増やす必要がある.
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Research Products
(6 results)