2012 Fiscal Year Annual Research Report
水文データを利用した種多様性と遺伝的多様性の関係解明と流域環境評価への適用
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22360192
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
風間 聡 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (50272018)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大村 達夫 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30111248)
竹門 康弘 京都大学, 防災研究所, 准教授 (50222104)
真砂 佳史 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50507895)
西村 修 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (80208214)
横尾 善之 福島大学, 共生システム理工学類, 准教授 (90398503)
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Project Period (FY) |
2010-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | 遺伝子解析 / 生息場 / HSI / 流出解析 / 数値地図 |
Research Abstract |
環境適応モデルにおいて,流出・水温シミュレーションから計算された水理・水温変数と地理・地勢変数の空間的変動に伴う,対象種の環境選択性遺伝領域における遺伝子の変動を表現可能である.水文モデルのシミュレーション手法を取り入れることにより,現在まで明らかにされていない水文要素の時間的変動と河川生物の遺伝子の関係性を定量的に示すことが出来た.例えば,重回帰分析により,年間最高水温と集水面積はフタスジモンカゲロウの環境適応に寄与する要素であることが示唆された.重回帰分析の結果,ウルマーシマトビケラにて10個,フタスジモンカゲロウにて9 個の有意なモデルが構築された(P<0.05).フタスジモンカゲロウの重回帰モデルにおいて,集水面積が多くの環境選択性遺伝領域にて説明変数として選択された.この結果は,流勢が本種における流域スケールの環境適応パターンを決定づけている事実を示唆する.集水面積は変動成分を含む水理変数と関係性の大きいパラメータであると考えられる.このため,出水の影響が相対的に大きいと考えられる主流において個体群が淘汰された結果,遺伝的多様性が低下したプロセスが考えられる.ウルマーシマトビケラの遺伝的多様性は重回帰モデルにて選択された説明変数に一定の傾向が見られないにもかかわらず,上流から下流にかけて減少する分布を示した.これは,名取川流域の上流から下流まで分布が変遷する土地利用の影響が大きいと考える. 水文モデルと遺伝子頻度を用いた重回帰分析の結果,フタスジモンカゲロウに水理要素に関する環境選択が存在する事実が示唆された.遺伝的多様性空間分布を推定する手法の開発により,今後生物多様性の保全に際し有用な知見を提供出来る.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究の最終目標である遺伝的多様性と種多様性の関係を上記のように示すことができた.また,遺伝的多様性地図を示す方法を開発した.
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Strategy for Future Research Activity |
上記成果の普遍性を得るために,他の水生生物や温度依存性についての解析を継続する.解析データを増やすために実測回数を増やす必要がある.
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Research Products
(11 results)