2011 Fiscal Year Annual Research Report
都市内緑地の持つ多面的効用の定量化と新規緑化形態の評価
Project/Area Number |
22360213
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栗栖 聖 東京大学, 先端科学技術研究センター, 講師 (00323519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
花木 啓祐 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00134015)
小熊 久美子 東京大学, 大学院・工学系研究科, 講師 (00361527)
中谷 隼 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40436522)
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Keywords | 多環芳香族炭化水素類 / PAHs / 街路樹 / コンジョイント分析 / 緑地効用 / 暑熱緩和 / 住民意識 / 屋上緑化 |
Research Abstract |
本研究では,都市の緑地空間が持つ多側面の効用を定量的に明らかにすることを研究目的としている。都市における緑地空間の例として,沿道における小規模な緑地である沿道街路樹の,大気汚染モニタリングへの利用効果について明らかとする。さらに,より大規模な都市緑地空間を対象とし,施策によってもたらされる複数の効用を定量的に把握する。本年度は,特に,沿道街路樹葉による多環芳香族炭化水素類(PAHs)のバイオモニタリングへの利用可能性を評価した。PAHsのfateとして,葉への取り込み,降雨や揮発による脱離,光分解を取りあげ,定期的な葉中PAHsモニタリングと,室内実験による各イベントの影響評価を行った。その結果,降雨による街路樹葉からのPAHs脱離は極めて小さく無視できる程度であることが示された。また,葉からの再揮発については,既往研究に見られるマツなどと同程度の値が示された。また,特に高分子の粒子態PAHsの大気中モニタリングに、街路樹葉の利用が有効に働くのではないかと示唆された。このようなミクロな空間での緑の効果を実験的に検討するのと並行して,都市における大規模な緑地空間創出の効用を取り上げた。コンジョイント分析を行い,特に屋上緑化施策などの施策による緑地創出でもたらされる,暑熱緩和や鳥類増加などの複数の各効用を,定量的に評価する枠組みを示した。これに加えて,東京都における大規模緑地水辺空間である外濠を対象とし,住民がどのような要素に効用を感じるかをアンケートに基づき評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では都市の緑地空間が持つ多側面の効用を定量的に評価することを目的としている。ミクロな緑地空間として街路樹葉の利用可能性については,PAHsの定期的な分析および室内実験のデータにもとづき,そのバイオモニタリングへの利用可能性と制約が概ね評価できたと言える。また緑の持つ複数の効用を評価する枠組みとしては,施策名を含めたコンジョイント分析を適用することにより,暑熱緩和や景観への影響など複数の効用を,金銭価値として定量的に評価する枠組みを既に示しており,こちらも十分進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
都市域において大規模な緑を提供している具体的な場を対象に,その効用を増すための具体的な施策について評価していく。その際には,住民選好を把握すると同時に,具体的な施策に伴う環境質の変化を定量的に評価すると同時に,コストや施策の具体性についても,十分に検討する。
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Research Products
(7 results)