2010 Fiscal Year Annual Research Report
アジアメガシティにおける生活関連化学物質の環境動態解析と効率的対策の検討
Project/Area Number |
22360214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 周平 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (00378811)
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Keywords | 有機フッ素化合物類 / 生活関連化学物質 / PFOS / PFOA / アジアメガシティ |
Research Abstract |
生活関連の化学物質を対象に、アジアメガシティの水環境、大気、土壌、地下水中での挙動を明らかにし効率的対策を提言するため、以下の研究を実施し成果を得た。(1)日常生活用品からの溶出試験では、各種の溶出試験を行い、PTFEガスケットからのPFOA溶出を確認した。(2)局所的発生源での効率的回収および処理対策の検討では、産業廃水処理場放流水への効率的回収方法として、イオン交換ポリマーによる吸着処理と紫外線照射による分解試験を行った結果、粒状活性炭の約3倍の吸着能を持つイオン交換ポリマーを見出した。分解試験では添加剤を加えることで約60分でPFOAを100%分解する操作条件が明らかとなった。(3)大気拡散した前駆物質の測定法の確立では、エアサンプラーにより回収したフッ素テロマーアルコールをGC-MSにて分析するための前処理手順を確立し、1μg/Lの3種のFTOHを定量することが可能となった。また、従来大気中での検出されていたFTOHを産業廃水処理水からも数百μg/Lで検出した。(4)雨天時流出機構の解明と効率的対策の検討では、長鎖のPFCsが雨天時に懸濁態として流出することが確認された。(5)アジアメガシティにおける下水処理場での処理効率調査では、大連、滋賀、沖縄にて調査を実施し、水質と処理特性について比較検討した。(6)アジアメガシティにおける浄水場での処理効率調査では、沖縄にて調査を実施し、比較的高いPFOSを水道水から検出した。(7)高濃度排出源での生物濃縮状況の把握では、PFCAs汚染が顕著な大阪府内の河川にて水生植物ヨシと底泥を採取しPFCsの分析を行った。(1)-(7)により挙動に関する情報が集積されたことに意義がある。特に、PFCsは下水処理場等で従来の化学物質とは異なる挙動をすることが指摘されていたが、前駆物質であるFTOHが水環境中からも検出されたことは、今後の挙動解明に大きく寄与すると示唆される。
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