2011 Fiscal Year Annual Research Report
オイルダンパと滑り基礎を併用する軽量低層住宅の耐震性能検証実験と耐震計算法の構築
Project/Area Number |
22360234
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
曽田 五月也 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70134351)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
脇田 健裕 中部大学, 工学部, 助教 (10469025)
宮津 裕次 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (70547091)
宋 成彬 早稲田大学, 理工学術院, 助手 (60547090)
|
Keywords | 免震 / 制振 / 滑り基礎 / 静摩擦 / 動摩擦 / 摩擦振動 / 最大滑り予測 / 最大加速度予測 |
Research Abstract |
本研究は、木造や薄板軽量形鋼造(スチールハウス)などによる軽量低層戸建住宅・共同住宅の耐震安全性を向上させるための構造システムを提案をし、その有効性・実用性を実験的・解析的に明らかにすることを目的とする。提案する構造システムは、地盤上のべた基礎表面に滑り易い高分子材料のシートを敷き、強地震時にはその上で上部構造の基礎が滑り免震に準じた地震力の低減効果を発揮する一方で、基礎での滑りが発生しない程度に弱い地震動や強風の作用時には、上部構造内に設置するオイルダンパによる制振効果を活用する。一般的な免震構法ほどには加速度低減効果が大きくは無いものの、建物本体に過大な損傷が生じることや、建物内部で収容物が移動・転倒・落下することを防ぐことには十分である。 前年度末に発生した東北地方太平洋沖地震で観測されたような過酷な地震動に対しても構造物の安全を保障する実用構造システムの一つとして位置づけるために、研究計画の一部として過酷な地震動をどのように定義するかの検討を追加した。対象とする各種の構造ごとに過酷な地震動に耐え得るための条件を策定し、建物の変形能力およびエネルギー吸収性能を向上させることを解析的に検討をした上で、滑り基礎に設置された場合の地震時挙動を中型の振動台実験により検討した。特に、過酷な地震動を対象とする観点より、ストッパー、アブソーバーを設置する事の効果を確認した。基礎がストッパーに衝突することが有っても特には目立ってネガティブな影響が出る事は無く、アブソーバーはロッキングの発生自体を抑制するばかりでなく、滑り振動の安定化に寄与することも明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2011年東北地方太平洋沖地震で発生した地震動に対する構造被害対策の検討を追加したため、昨年度実施予定であった実験計画の一部を省略した。ただし、最も肝要である実スケールモデルによる滑り基礎構造の施工から加振に至る一連の実験を実施して、過酷地震動対策の一環として大きな成果を得ることが出来た。構造躯体そのもの変形能力向上技術の開発に関しても面材を枠材に嵌め込む構法の妥当性を実証することが出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度は、本提案構造の実用性を最終的に検証するために、可及的に大型の試験体の施工実験、2階建てに相当する力学性能を発揮するモデルを用いての加振実験を行う。主要購造部材のみでは住宅性能表示耐震等級1級相当(最低限)になることを目標として試験体は設計するが、実力的に耐震等級3級に相当することを22-23年度に運用方法を整備した限界耐力計算により示す。本実験の過程では、大型の滑り基礎の施工実験も行い、コンクリート摩擦面の表面粗さ、硬度のばらつきの調査、さらに静的な加力試験による摩擦係数の実測を行い、摩擦振動の基礎的な研究についても纏める。最終的に、上記の理論研究、実験研究の結果を踏まえて本研究全体の総括をする。
|
Research Products
(13 results)