2011 Fiscal Year Annual Research Report
住宅居住者の特性を考慮した火災時の人命安全評価手法の開発
Project/Area Number |
22360240
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
菅原 進一 東京理科大学, 総合研究機構, 教授 (90011220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山内 幸雄 東京理科大学, 総合研究機構, 准教授 (70548388)
水野 雅之 東京理科大学, 総合研究機構, 講師 (40366448)
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Keywords | 住宅火災 / 燃焼 / 煙 / 燻焼 / 避難 / 一酸化炭素 |
Research Abstract |
(1)死者発生リスクの高い住宅火災の分析 出火室で死者が発生した火災に着目し,発火源・着火源の組み合わせに基づく火災分類について,焼損床面積の累積相対度数の分布型を調べ,「発火源:たばこ,着火源・布団類」の火災では,焼損床面積が1m^2未満の燻焼火災と推定されるケースでもCO中毒・窒息を死因とする死者が発生している結果を得た。このことは結果的に大きな焼損床面積となった火災においても燻焼によって発生するCOの毒性が死者発生に影響することを示唆している。一方,非出火室で死者が発生した火災では,発火源・着火源の組み合わせについて特に特徴がある訳ではなく,一定以上(本研究では1部屋の規模10m^2以上とした)の焼損床面積になっている結果が得られ,CO中毒・窒息を死因とする割合が高かった。 (2)火災初期の住宅内煙流動解析手法の開発 前項の結果より,出火室では燻焼によってCOが発生し死者発生につながっていること,非出火室では出火室全体が燃えるような規模の火災になるとCOによって死者発生につながることが指摘できる。本年度は,出火室でフラッシュオーバーが発生し盛期火災におけるCOの発生予測モデルを作成した。ただし,発生したCOの隣接室などでの状態については未解明な部分が多く,実験的検討を経た上でモデル化を試みることとした。 (3)居住者特性や建物特性を考慮した屋外への退避シナリオの類型化 特に非出火室の在館者を対象とした退避途中での人命危険性について検討するための屋外への退避シナリオについて,火災の進展過程との関係に基づいて整理した。 (4)可燃物の燃焼実験 前項(2)に関連し,盛期火災の状態でのCOの発生モデルを検証することを目的とした模型実験を実施した。実験から流入空気量,可燃物の熱分解速度,CO濃度を分析し,ゾーンモデルによる予測計算との比較検討からCOイールドについて分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
住宅火災での死者発生状況について,統計データを分析することによって死者発生に至るシナリオや原因について考察し,住宅火災の死者発生危険について概ね網羅した分析が完了している。また,この結果を受けて,住宅火災の死者発生リスクを評価する上で,燻焼によるCOの発生と出火室での時間経過に対するCO濃度,フラッシュオーバー後の出火室でのCOの発生と出火室以外の室でのCO濃度に関する予測手法を提案することが特に重要である知見が得られており,これらの予測モデルを構築するための実験研究を現在実施しており,当初の計画通り研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初計画では,住宅内の可燃物を対象とした燃焼実験を実施することで直接的に分析を試みる計画としていたが,実大規模の実験を有益に実施するための前段として,模型実験を通してCOの発生モデルについての分析を実施している。この実験を通してCOの発生モデルに関する理解を深めており,最終年度となる平成24年度において住宅内の可燃物を対象とした燃焼実験を計画通り実施し,直接的に住宅火災のリスクについて評価できる手法の開発を行う。
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Research Products
(6 results)