2011 Fiscal Year Annual Research Report
真の省エネルギー実現のための合理的な空調設備設計および運用に関する研究
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22360245
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
猪岡 達夫 中部大学, 工学部, 教授 (20367668)
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Keywords | 省エネルギー / 空調システム / 個別分散システム / 熱負荷 / 日射遮蔽 |
Research Abstract |
真の省エネルギーを実現するために多方面の研究を行った。 1)照明:人、照明、OA機器などの内部発熱が冷房負荷の約1/3を占める。中でも照明は新JISの基準は750Lxであるが、本来最も疲れないのは200Lxとされている。3.11の大震災以後の電力不足により多くのビルで、旧JISの500~350Lxで低照度による運用がされている。本研究では2つの側面で研究を行った。 1-1)種々の建物での実態調査:学内の教室・店舗、学内のコンビニとスーパーマーケットを対象に、照明電力と照度分布の実態調査を行った。 1-2)直接照明・間接照明の被験者実験:前年度、直接750Lxと間接500Lxが省エネおよび作業性でほぼ同等の結果を示した。23年度は、輝度と人の瞳の縮瞳に着目して、より低照度で、視環境と省エネルギーの両立の可能性を示した。 2)ファサード:窓・屋根などの日射遮蔽は、冷房の省エネルギーの基本である。本研究で重要な対象とする中小建物は相対的に外皮面積が大きく、窓・屋根の日射遮蔽は特に重要である。平成23年度は2つの研究を行った。 2-1)窓の散水ブラインド:散水ブラインドは、蒸発によりガラス表面温度が外気温度よりも低く抑えられ、冷房負荷軽減に大きな効果があることが分かった。 2-2)屋根の遮光ネット:農業用の安価な50%遮光ネットを二枚重ねして75%遮光としたが、高反射塗料、吸湿タイルを上回る効果を得た。 3)個別分散型空調システムの運用改善による省エネルギー効果に関する実践研究:既存の中規模建物において平成22年度の実測データに基づき、(1)夏期の運用改善、(3)中間期と冬期の運用改善、(3)外気導入量と室内温湿度,照明電力・照度の調査に基づく分析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度(平成22年度)は実建物における個別分散空調システムの直接的な省エネルギー改善研究と、空調負荷削減の根本になる内部発熱・ファサード、照明の研究と行って。2年目(平成23年度)は、3.11を背景とする節電と省エネルギーに的を絞り、窓と屋根の日射遮蔽および、照明による負荷削減の可能性の研究を行った。また、個別分散空調システムの運用改善の研究を行い、本研究が対象とする中小規模の建物の省エネルギーに深く切り込めたと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度(平成24年度)は、引き続き窓・屋根・照明について研究し、所定の成果を得る予定である。また、空調の省エネルギーで基本となる負荷計算を取り上げる。ここでは、(1)ピーク負荷の安全率のあり方の問題、(2)省エネルギーの基本となる年間負荷を簡易かつ精度良く予測する計算研究、(3)空調システムの省エネルギーの簡易評価手法を研究する予定である。
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