2011 Fiscal Year Annual Research Report
発展途上国を含むSI住宅の国際理論とその実現方法に関する研究
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22360247
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小林 秀樹 千葉大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20344963)
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Keywords | スケルトン・インフィル / 韓国 / ルマススン / カスタマイズ / 維持管理 |
Research Abstract |
本研究の目的は、国際比較調査を通して、建物の長寿命化をはかるSI(スケルトン・インフィル)住宅のあり方を各国の住宅関連産業の発達段階を踏まえて解明し、汎用性のある理論として体系化することである。 韓国では、キッチンや風呂等の住宅部品の工業化は限定的で、現場施行範囲が広いとされることから、本年度はその実態を把握し部品化の意義を国際的視点から再整理した。また、法規制の影響からバルコニーへの増築が一般化しており、法制度とSI住宅の関係について検討を行った。 韓国の第1次調査(2011.9.14~20)と第2次調査(2011.10.13~16)では、ソウル市と仁川新都市のアパート34件に対して、住戸改修、バルコニー拡張等についての居住者へのヒアリング調査、実測による図面作成、住戸と団地内のカメラ・ビデオ撮影等を行った。また、関連団地の管理事務所所長に対して管理全般、バルコニー拡張等の手続きや計画修繕等についてヒアリングを行った。さらに、第3次調査(2012.2.21~27)では、建設会社、設計事務所、インテリア業者、キッチン業者らに改修工事内容や問題等についてヒアリングを実施した。 韓国め多くの調査対象者は住戸内のバルコニー拡張を行っていることが分かった。2005年12月までは、不法にバルコニーを居室および寝室に拡張して使用したが、取り締まりが難しく、黙認されてきた。合法化後は、竣工前のオプション工事の段階で建設会社によるバルコニー拡張工事が実施され、構造や断熱等の問題は軽減されるようになったと言える。また、住戸引渡前のインテリア業者によるリフォーム工事は不法であり容認されるものではないが、入居予定者への便利を図ることと同時に不安定な社会・経済的状況から、現場では許容せざるを得ない実態が分かった。 本研究は、連携研究者の丁志映(千葉大学)、藤本秀一・米野史健(建築研究所)の共同で取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画通りに韓国調査実施し、居住者による自主改造の実態やスケルトンの維持管理方法等、内装と設備の部品化が遅れていることについて解明できるという大きな成果を得た。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、中国・ブラジルにおける調査を実施する。 1)中又は低所得者向けの分譲マンションを各3~4例選定し、居住者による自主改造の実態やスケルトンの維持管理方法等、インドネシア・韓国調査と同項目を調査する。 2)中国・ブラジルでは、住宅水準が低く、内装や設備の部品化は日本ほど進んでいない。 その背景を探るために、部品メーカーに対するヒアリング調査を別途実施する。
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Research Products
(8 results)